2026年2月25日 / 最終更新日時 : 2026年2月25日 管理者 創作小説 鬼を狩る子孫 第二部・過去編 第一章 丹後の若侍(9) 第9回 名を呼ぶ声 山道の一件は、思いのほか早く広まった。 「三人を相手に、斬らずに追い払ったらしい」 城下の市で、そんな声が聞こえた。 朔太郎は黙って、干し魚を眺めていた。視線を合わせぬように。 「若い侍やて […]
2026年2月24日 / 最終更新日時 : 2026年2月24日 管理者 創作小説 鬼を狩る子孫 第二部・過去編 第一章 丹波の若侍(8) 第8回 山道の影 秋の気配が、山に差していた。 朔太郎は、城下と山里をつなぐ細い道を歩いていた。薪を背負った村人が行き交う道だが、このところ様子が違う。 「最近、出るらしい」 そんな噂が、酒場で囁かれていた。 […]
2026年2月22日 / 最終更新日時 : 2026年2月22日 管理者 創作小説 鬼を狩る子孫 第二部・過去編 第一章 丹波の若侍(7) 第7回 刃を振るう 夜明けは、薄かった。 谷を満たしていた霧が、ゆるやかに崩れていく。山肌が、少しずつ姿を現す。 朔太郎は、立ったままだった。 夢は消えていない。 声も、言葉も、胸の奥に残っている。 ――鬼は […]
2026年2月20日 / 最終更新日時 : 2026年2月22日 管理者 創作小説 鬼を狩る子孫 第二部・過去編 第一章 丹波の若者(6) 第6回 夢だと分かる夢 その夜、朔太郎は山の中腹に身を置いていた。 秋月城の灯が、遠く盆地の底に揺れている。城は低く、頼りない。だが、それでも人の営みの中心であることに違いはない。 朔太郎は、あえて城下へ戻らなかっ […]
2026年2月18日 / 最終更新日時 : 2026年2月22日 管理者 創作小説 鬼を狩る子孫 第二部・過去編 第一章 丹波の若侍(5) 第5回 丹波という国 丹波は、都の背後にある国だ。 京から西へ下ると、山に囲まれた盆地が現れる。都に近いが、都ではない。平安の頃から、木材や馬を送り、兵を出す役目を負わされてきた。 だが、応仁の乱ののち、世は崩れた。 […]