2026年3月30日 / 最終更新日時 : 2026年3月30日 管理者 創作小説 鬼を狩る子孫 第二部・過去編 第四章 伊賀(4) 試しの問い 屋敷の奥の一室。 朝の光は少しずつ強くなり、障子越しに柔らかく広がっていた。 葛山虎矩は、三之助を前にしたまま、しばらく何も言わなかった。 沈黙は長い。 だが、気まずさはない。 虎矩が、相手を見ている時間だっ […]
2026年3月29日 / 最終更新日時 : 2026年3月29日 管理者 創作小説 鬼を狩る子孫 第二部・過去編 第四章 伊賀(3) 虎という男 伊賀の中でも、葛山の屋敷は少し高いところにあった。 谷を見下ろすように建てられ、道を行き来する者の動きがよく見える。 この屋敷の主、葛山虎矩は、伊賀でも指折りの力を持つ地侍であった。 もともとは一つの谷を治め […]
2026年3月27日 / 最終更新日時 : 2026年3月27日 管理者 創作小説 鬼を狩る子孫 第二部・過去編 第四章 伊賀(2) 第二回 見えぬ力の国 伊賀の者たちは、あまり表に出ない。 武を誇ることもなければ、名を掲げることも少ない。 だが、それで弱いわけではない。 むしろ逆である。 見えぬところで力を持つ。 それが、この国の在り方であった。 こ […]
2026年3月26日 / 最終更新日時 : 2026年3月26日 管理者 創作小説 鬼を狩る子孫 第二部・過去編 第四章 伊賀(1) 第一回 山に囲まれた国 伊賀は、山に囲まれた国である。 外から来る者にとっては、まずそれが印象として残る。道は細く、谷は深く、ひとつ山を越えれば、もう別の村になる。 京から南へ下り、さらに東へ折れると、やがて道は狭くなる […]
2026年3月25日 / 最終更新日時 : 2026年3月25日 管理者 創作小説 鬼を狩る子孫 第二部・過去編 第三章 南都の影(12) 銭の行方 朝。 奈良の町は、すでに動き始めていた。 東大寺へと続く道には、人が絶えない。荷を担ぐ者、帳面を抱える者、銭を数える者。それぞれの思惑を抱えながら、ひとつの流れとなって進んでいる。 その流れの端に、三人は立って […]