2026年3月12日 / 最終更新日時 : 2026年3月12日 管理者 創作小説 鬼を狩る子孫 第二部・過去編 第二章 洛中の渦(10) 第10回 夜の京を出る 寺の外へ出ると、夜の風が少し冷たかった。 洛外の道は暗い。 だが、遠く洛中の方には灯が見える。 京は眠らない町だった。 権太は歩きながら、腹をさすった。 「腹減ったわ」 振り向く。 「 […]
2026年3月11日 / 最終更新日時 : 2026年3月11日 管理者 創作小説 鬼を狩る子孫 第二部・過去編 第二章 洛中の渦(9) 第9回 鎖の音 洛外の夜は、思ったより静かだった。 昼の市の騒ぎが嘘のように、町の外れは闇が深い。焼け跡の残る寺の境内には、崩れた石塔と焦げた柱がまだ転がっている。 応仁の乱から三十年。 それでも、この寺は建て直 […]
2026年3月10日 / 最終更新日時 : 2026年3月10日 管理者 創作小説 鬼を狩る子孫 第二部・過去編 第二章 洛中の渦(8) 第8回 無精髭の正体 夕刻の洛中は、昼とは別の顔を見せる。 店は戸を閉め、通りには影が長く落ちる。 表通りの賑わいが引くころ、裏の動きが始まる。 朔太郎は、橋を渡り、細い路地へ入った。 京へ来てから、同じ男を何度 […]
2026年3月9日 / 最終更新日時 : 2026年3月9日 管理者 創作小説 鬼を狩る子孫 第二部・過去編 第二章 洛中の渦(7) 第7回 桔梗との再会 洛北から戻るころ、空は薄く曇っていた。 春先の雲は低く、風は冷たい。 朔太郎は、川沿いの道をゆっくりと歩いていた。 霊松寺で見た巻物の文字が、まだ胸の奥に残っている。 霧村。 名は、残って […]
2026年3月8日 / 最終更新日時 : 2026年3月8日 管理者 創作小説 鬼を狩る子孫 第二部・過去編 第二章 洛中の渦(6) 第6回 霧村の名 祭の喧噪を離れ、朔太郎は洛北へ向かった。 都の北は、次第に人影がまばらになる。畑が広がり、松林が続く。応仁の乱で洛中は焼けたが、このあたりは大きくは傷まなかったと聞く。 小さな寺があった。 霊松 […]