鬼を狩る子孫 第九話 鎌倉山の鬼伝説(目次)

第1回 江ノ電の窓から

悠夜たちは鎌倉山の鬼伝説を調べるため、嵐山とともに江ノ電へ乗り込む。
車内で出会った若者の無関心と老婦人の姿が、悠夜の胸に小さなざわつきを生む。
嵐山は「鬼は心に宿るものや」と語り、悠夜は “鬼とは何か” への興味を深める。
やがて七里ガ浜に降り立ち、鎌倉山へと歩みを進めていく――。

第2回 山に残る影

鎌倉山の山腹へと歩みを進める四人。
整然とした住宅街から徐々に古い石垣や切通しの名残が現れ、
悠夜はこの地に残る “古い気配” を感じ始める。
そこで嵐山は、この山に伝わる「鬼」の伝承を静かに語り始める。

第3回 小さな芽生え

鎌倉山へ向かう道すがら、悠夜は江ノ電で見た光景を思い返していた。
若者が席を譲らなかったこと自分が何もできなかったことは、責めるほどのことではない。
しかし、心のどこかに “どうすればよかったのか” という小さな疑問が残る。
そんな三人に、嵐山が京都の寓話をひとつ語って聞かせる。

第4回 山道に消えた影

鎌倉山へ向かう山路で、悠夜たちはこれまでの出来事を思い返し、
“鬼とは何なのか” という根本的な疑問に向き合い始める。
嵐山は山の気配に耳を澄ませながら、
人の心に潜む影を寓話のように語り、三人の思索を深めていく。

第5回 鎌倉山に棲む影

鎌倉山に登る途中、嵐山がこの地に伝わる鬼の話を語り始める。
山中に残る地名や岩の形、かつての道の名から浮かび上がる “ひとつの怪異” 。
その伝承は、単なる昔話ではなく、
現代の人の心にも共鳴する “鬼のあり方” を示していた。

第6回 山影に残る “面の鬼”

鎌倉山の山路を進むうち、一行は地元の古い “面(おもて)の鬼” の伝承に触れる。
それは、戦乱の時代に山中に潜んだ一族が「鬼」と呼ばれたという話であり、
彼らが残したとされる仮面が今も山影に眠っているという。
伝承は虚実あいまいだが、悠夜にはそれが“人の心に潜む影”と重なって感じられた。

第7回 痕跡をたどる

鎌倉山の尾根道を進むうち、
悠夜たちは地形の不自然な切れ込みや、石積みの跡、古い祠の残骸など、
“鬼の伝承” を思わせる痕跡に次々と出会う。
嵐山は「伝説は嘘やない。嘘やけど嘘やない」と語り、
悠夜は “鬼とは何か” をさらに深く考え始める。

第8回 鬼の残したもの

鎌倉山の奥へと進む四人は、
山中にひっそりと残る古い石碑や地形に、かつての “鬼伝承” の痕跡を見る。
嵐山は伝承の断片を紹介しつつ、現代に残る「鬼の名残」が何を意味するかを語る。
悠夜は、鬼が “人間の外にいた怪物” ではなく “心に宿る力” でもあったのではと感じ始める。

第9回 囁く影

鎌倉山の静かな雑木林を進むうち、
悠夜は足を止め、“誰かが見ているような感覚” にとらわれる。
嵐山は、かつてこの山に伝わった “影の鬼” の逸話を語り、
それが時代を超えて「人の心を曇らせるもの」と結びついてきたことを示す。
悠夜たちは、それが単なる伝承ではない“現在への伏線”だと感じ始める。

第10回 鎌倉山に残る影

嵐山は鎌倉山に伝わる “鬼” の正体を、歴史と生活の中から静かに語る。
それは怪物ではなく、人が心の奥に抱える弱さや欲、その象徴として生まれた “影” だった。
悠夜は、目の前の自然の静けさと、これまで見てきた人々の姿を重ねる。
帰り道、彼らはささやかな思いやりを実際に行うことで、鬼を弱める方法を体感する。

第11回(最終回)「それでも灯りはある」

江ノ電を降りた四人は、夕暮れの鎌倉を歩きながら、今日見聞きした “鬼” について静かに語り合う。
鬼は歴史の中だけでなく、現代の社会にも、人の心にも、さまざまな形で潜んでいる――その実感が、少しずつ彼らの中に根を下ろす。
そして嵐山は、彼らがこれから出会う “鬼” とどう向き合うべきかを、短い言葉で示す。
悠夜たちは、自分たちでも灯りになれるかもしれない、という希望を胸に帰路につく。