連句(43)

連句(43)『梅ふふむの巻き』
令和8年3月1日(日)~3月4日(水)   
連衆  紀子 二宮 典子 游々子

各句のコメントは自句自解です。

(発句)    主なき邸の一隅梅ふふむ         紀子

先月虚子館に行くと、お隣の汀子邸の門が開いていてお庭に入ることが出来ました。もう誰も住んで居なく売りに出されているのですが、梅が膨らんで来ていました。

道真の歌を思い出しました。

(脇句)    六甲の新芽僅か青みて          二宮

この頃は出かけることも少なくなりましたが、新芽を探しに行きたい。

(第三句)   汐干狩空まで届く声のして        典子

山から海で移動しました。大阪でも南部の海岸では潮干狩ができるようです。

(第四句)   地引き網ひき鱚の天麩羅         游々子

40年近く昔の事になりますが、地元の子供会主催で、茅ヶ崎海岸で地引き網を引くイベントがあり、浜に張ったテントの下で取ったばかりのキスを天麩羅にして食べた事を思い出しました。

(第五句)   露天風呂より最高の月明り        紀子

以前奈良のホテルに泊まり露天風呂ではないですが、月明かりが煌々と入って来ました。

(第六句)   紅葉の宿の朝餉の茶粥          典子

五句と自解よりの茶粥を連想しました。

(第七句)   干し柿の山家の障子夕陽さす       二宮

神戸市北区の農家には少し残る景色です。

(第八句)   黄昏時に抱く恋心            紀子

七句の夕陽より。黄昏時は人恋しくなるもの。

(第九句)   恋多き女丹後の橋立に          游々子

最近、鬼の物語で『大江山』を扱ったので、小式部内侍の母親である和泉式部を詠んでみました。

(第十句)   窓を見てゐし古典の授業         典子

和泉式部より学生時代の古典の授業を思い出しました。もっと真剣に授業を受けていたら良かった、と思うこの頃です。

(第十一句)  花札に若松を知る街育ち         二宮

百人一首は坊主めぐり、花札は絵あわせのような遊びのこどもでした。

(第十二句)  海を渡りし日本のゲーム         紀子

花札の任天堂は今やマリオやポケモンを産み世界ブランド。

(第十三句)  横浜の野外ライブの夏の月        典子

前句の海を渡りしより横浜を連想しました。

(第十四句)  巴里祭めざすクルーズの旅        游々子

前句の横浜より大桟橋を発着するクルーズ船を連想しました。そんな船で世界一周の旅が出来たらとの願望です。

(第十五句)  深層の海流巡る一千年          二宮

深層海流は温度と塩分の差で流れると書いてあります。周期は1000年くらいらしい。

(第十六句)  カメラ構へるオーロラ眩し        典子

海から空へとイメージしました。いつかオーロラを見てみたいです。

(第十七句)  桜舞ひ御伽の国の絵巻物         紀子   

オーロラと言えば、北欧、北欧にはアンデルセンの物語やムーミンのお話があります。

そして北欧にも日本から贈られたソメイヨシノが咲くようです。

(第十八句)  神社坂道雛壇続く            二宮

古い雛人形を皆さんにみてもらいたいと、催しのあるようです。

(第十九句)  佐保姫の里より巡る三輪の山       游々子

前句の神社より日本最古の大三輪神社を連想しました。この神社の祭神が出雲の大国主命であるのは不思議な限りです。  

(第二十句)  鳥獣戯画の御朱印帳持ち         典子

三年ほど前から神社やお寺をお参りした時、ご朱印を頂いています。

(第二十一句) 堺より倭の大王の御陵へ         游々子

御朱印帳より朱印船→堺を連想しました。倭の五王の時代は、大阪湾は内陸まで入り込んでいたそうです。

(第二十二句) 百舌鳥鳳の古代史の謎          二宮    

中百舌鳥では知り合いがお医者をしていますが、行ったことなし。いつか行けるかな?

(第二十三句) 櫂打つや破調にひかる鳰の湖       游々子

鳥関連の句にしました。ボート部エイトの琵琶湖での練習風景を詠みました。

上句の「や」は切れ字の「や」ではなく、櫂を打つという意味です。

(第二十四句) 土産に美しき落雁を           紀子

近江八景の堅田の落雁を想像しながら。

(第二十五句) 織部焼幾何文様に魅せられて       典子

落雁の干菓子から茶道、そして茶碗を連想しました。

(第二十六句) 骨董に恋し古物免許得          二宮

神戸市を定年退職して、古物骨董取扱い免許をとり、鹿島神社の古物市などに出品している人もあります。

(第二十七句) 小説の感動君に伝へたく         典子

前句と自解より古書店や本を連想しました。

(第二十八句) 松明走る二月堂の上           紀子

場面転換しました。昨日から始まった千年以上続くお水取りを詠みました。

(第二十九句) 遥かなる今長安に昇る月         游々子

二月堂より三笠山を連想。今頭上にある月は長安では昇り始めたばかりであると阿部仲麻呂を思ってみました。

(第三十句)  邯鄲の粥百秋過ぎる           二宮

邯鄲は戦国時代には趙国の都。謡に「邯鄲」がありますね。

(第三十一句) 端渓の硯を洗ふ星の夜          紀子

二宮さんの30句から一炊の夢と言う古語を思いました。

そこから星空に思いを馳せ七夕の夜に硯洗ふの人の姿を連想しました。

30句からの繋がりで、硯は端渓だと思いました。

(第三十二句) シルクロードの空は群青         游々子

前々々句より奈良→中国と移動して来ているので、更に西のシルクロードに飛んでみました。平山郁夫に群青の空の下を駱駝の隊列が進んで行く絵があったので、それを句にしました。

(第三十三句) 砂の波遠く夕日の落ちてゆき       典子

前句より砂漠の夕暮れ時を連想しました。

(第三十四句) 再訪叶ふトレビの泉           紀子

シルクロードの終点に向かいました。

「泉」は夏の季題ですが、トレビの泉は伏流水からのものではなく人工のものなので季題の泉には当たらないと思います。

(第三十五句) 温もりの花前線に賑わえる        二宮

散歩の服が軽くてよくなってきました。

(挙句)    雨止み空に翔び立つ鳩よ         游々子

中東の戦火が拡大しないことを祈って挙句としました。