鬼を狩る子孫 第八話 代議士への道(5)

名刺の業者が “寄付” をしていた証拠

昼休みの図書館は静かで、
紙のめくれる音だけが小さく響いていた。

蓮は新聞閲覧コーナーで、
数か月分の地域紙を一枚ずつチェックしていた。
昨日聞いた “議員秘書が学校を訪れている” という話が、
どうにも頭から離れなかったのだ。

「何か手がかりあるかな……」

蓮がつぶやいたとき、
ふと視界の端に小さな記事がとまった。

「○○議員後援会、地元企業から寄付を受領」

記事は小さく、写真もない。
だが、そこに並んだ企業名の一つに蓮の目が止まった。

——昨日の名刺と、同じ会社名。

蓮の指先がわずかに震えた。

「これ……」

声を押し殺しながら記事を食い入るように読む。


金額は大きくない。
しかし、確かに “後援会寄付” として記録されている。

創作小説の挿絵

ちょうどそのとき、後ろから悠夜と真衣がやってきた。

「蓮、何見つけたの?」
真衣が覗き込む。

蓮は新聞を指さした。
「これ。昨日の封筒の名刺の会社……
 議員の後援会に寄付してる。」

悠夜は息をのんだ。
「本当だ……会社の名前、同じだ。」

三人はしばらく黙って記事を見つめた。
ただ企業が寄付しただけ——と言えばそれまでだ。
だが、

・体育館裏で拾った封筒
・後援会申込書
・体育用品業者の名刺
・議員秘書が学校に頻繁に来ている
・その業者が“寄付をしていた”という事実

これらがゆっくりと一本の線に並び始めるのを、
三人は感じ取っていた。

「これって……偶然にしては、できすぎじゃない?」
真衣が小さくつぶやいた。

蓮は新聞を閉じながら言った。
「まだ全部がつながってるとは言えないけど……
 何かある気がする。」

悠夜もうなずいた。
胸の奥で、説明のつかないざわめきが静かに広がっていく。

名刺、封筒、後援会、業者、議員。

学校の外にいるはずの世界が、
少しずつ自分たちの足元へ滲み込んでくるようだった。