鬼を狩る子孫 第八話 代議士への道(1)
体育館裏の忘れ物
放課後の校庭には、部活を終えた生徒たちの声が薄れていく。
蓮は体育館裏の通用口を通りかかったとき、足元で白い紙片がひらめくのに気づいた。
「……封筒?」
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拾い上げると、差出人も宛先も書かれていない。
ただの白い封筒――にしては、手触りがやけに重い。
蓮は周囲に誰もいないことを確認すると、そっと封を開いた。
中からまず現れたのは、
「○○議員 後援会 入会申込書」と印字された紙だった。
「議員の、後援会……?」
学校で見るには場違いな文書に、蓮の眉が寄る。
さらに名刺が一枚、滑り落ちた。
体育用品の業者のものだった。
つい先日、体育館の器具点検に来ていた会社だ。
そのとき背後で、
「蓮、何持ってるの?」
と声がした。
振り返ると、悠夜と真衣が立っていた。
蓮は封筒の中身を見せながら言った。
「体育館裏に落ちてた。どういうことだろうね、これ。」
悠夜は後援会の紙を手に取って驚いた。
「学校に、なんで議員の書類が落ちてるんだ……?」
真衣は名刺を目に留めた。
「あれ? この会社、体育館の備品のときに来てた業者じゃない?」
三人はしばらく黙った。
封筒の主が誰かはわからない。
単に落としただけかもしれない。
けれども――
議員の後援会申込書と、体育用品業者の名刺。
その組み合わせは、どこかひっかかった。
「とりあえず職員室に届けよっか。」
真衣がそっと封筒を閉じた。
蓮と悠夜もうなずく。
体育館の影はゆっくりと伸び、
夕陽に照らされた三人の足元を包み込んだ。
このとき彼らはまだ知らない。
この “忘れ物” が、
学校の外へと伸びる長い影の端緒になることを。


