連句(36)
連句(36) 『紅葉空の巻』
令和7年11月11日(土)~11月25日(火)
連衆 二宮 游々子 典子 紀子
(発句) 湖西行くメタセコイアの紅葉空 二宮
(脇句) 天秤棒の揺れる鯖道 游々子
(第三句) 秋晴の恐竜館は賑はひて 典子
(第四句) 寧楽の井戸水清らかに 紀子
(第五句) 夏日差し柳生の里に陰求め 二宮
(第六句) バイパスを抜け終点の滝 紀子
(第七句) ひた走るルート66の道 游々子
(第八句) 西海岸の日の出を眺む 典子
(第九句) 星恋し少年レンズを磨きいる 二宮
(第十句) この世で君と出逢ひし奇跡 紀子
(第十一句) ひっそりと過ごすジュラ期の吾が祖先 游々子
(第十二句) 花鳥風月進化それぞれ 二宮
(第十三句) 月冴ゆる猿の惑星まだ未完 紀子
(第十四句) 『冬の旅』なるウィーンの像よ 游々子
(第十五句) 抱かれて赤子泣き止む子守歌 典子
(第十六句) 光と翳のベルサイユ宮殿 紀子
(第十七句) 須磨ケープル桜山から淡路みる 二宮
(第十八句) 千載集の詠み人知らず 游々子
(第十九句) 春宵の神社に残る能舞台 典子
(第二十句) 流れ流れて壇ノ浦まで 紀子
(第二十一句) 青空の下の大仏拝みをり 典子
(第二十二句) 千金求め腰に拳銃 游々子
(第二十三句) ウクライナブルー真夏の水平線 紀子
(第二十四句) ナイチンゲールのクルミア思う 二宮
(第二十五句) 大銀杏みあぐ博多の芸者衆 游々子
(第二十六句) 婚約会見義母の着物で 典子
(第二十七句) 日の本とラオスを結ぶ姫の旅 紀子
(第二十八句) コーヒーの香りメコンの流れ 二宮
(第二十九句) 外つ国に生きて眺むる今日の月 典子
(第三十句) 歌心ある関の防人 游々子
(第三十一句) それぞれにふるさとありて大相撲 二宮
(第三十二句) 化粧廻しに思ひを込めて 典子
(第三十三句) 人の世は光織りなす万華鏡 紀子
(第三十四句) DNAは螺旋階段 二宮
(第三十五句) 花の曇呼び売りぬける王子道 游々子
(挙句) 茶屋の軒下初燕来る 典子
(発句) 湖西行くメタセコイアの紅葉空 二宮
”松は緑に砂白く” と琵琶湖周航の歌で歌われているように、琵琶湖一帯は白砂青松となっていて、そのせいか付近には数多の名所旧跡が点在しています。滋賀県湖西の高島市にあるメタセコイア並木もその一つで、2kmを越える並木道は秋には見事な紅葉街道となります。
(脇句) 天秤棒の揺れる鯖道 游々子
湖西は昭和の初めまで、天秤棒をかついで福井から鯖を京都に運ぶ街道が何本も通っていました。京都での終点は出町柳となっています。
(第三句) 秋晴の恐竜館は賑はひて 典子
福井はまた恐竜の化石が数多く出土していて、恐竜館は子供たちの人気スポットになっています。
(第四句) 寧楽の井戸水清らかに 紀子
寧楽は「なら」と読み奈良を指しています。琵琶湖あるいは京都の地下水から、奈良の井戸水が連想されました。奈良には井戸を利用している家庭が多く、一つ一つは小さくても豊かな水源が点在することをうかがわせています。
(第五句) 夏日差し柳生の里に陰求め 二宮
奈良の柳生の里には柳生石舟斎の館があり、後に1万石の大名としての居城となりました。下五に使われている「陰」からは新陰流が連想されます。
(第六句) バイパスを抜け終点の滝 紀子
柳生の里は木津川に近く、水の豊富な処です。
(第七句) ひた走るルート66の道 游々子
バイパスよりアメリカで最初に造られた高速道路であるルート66が連想されました。この高速道はカリフォルニアからシカゴへ通じているもので、舗装には煉瓦が使われていました。
(第八句) 西海岸の日の出を眺む 典子
ルート66の西端はロサンゼルスのサンタモニカ。警部コロンボにもよく出てくる場所で、そこから眺める太平洋の西日は絶品です。
(第九句) 星恋し少年レンズを磨きいる 二宮
太陽から星へとスケールが拡がりました。
(第十句) この世で君と出逢ひし奇跡 紀子
地球以外に人類のような生命体は見つかっていなく、この世は宇宙と思っても間違いはないでしょう。
(第十一句) ひっそりと過ごすジュラ期の吾が祖先 游々子
人類の祖先は、恐竜の時代であるジュラ期にはネズミのような哺乳類で、恐竜の餌食とならないようにひっそりと暮らしていました。そのおかげで今があるとしたものです。
(第十二句) 花鳥風月進化それぞれ 二宮
億年の時を経て万物は進化してきました。
(第十三句) 月冴ゆる猿の惑星まだ未完 紀子
猿の惑星とは地球の事。進化はまだまだ続いています。
(第十四句) 『冬の旅』なるウィーンの像よ 游々子
「未完」よりシューベルトを連想。彼の像はウイーンの公園に、ヨハン・シュトラウスの隣に建てられています。
(第十五句) 抱かれて赤子泣き止む子守歌 典子
シューベルトの子守歌、このように赤ん坊が泣き止んでくれると良いですね。
(第十六句) 光と翳のベルサイユ宮殿 紀子
ウイーンのハプスブルグ家と対抗したのはフランスのブルボン王朝です。ベルサイユ宮殿は太陽王と呼ばれたルイ14世によって造られました。
(第十七句) 須磨ケーブル桜山から淡路みる 二宮
標高246mの須磨浦山上からは、緑豊かな自然と大阪湾、関西空港、神戸空港、明石海峡大橋、淡路島、播磨灘等360度の大眺望が楽しめます。
(第十八句) 千載集の詠み人知らず 游々子
一の谷の合戦で落命した平忠度は、平家物語に依ると、都落ちしたのち一度、和歌の師である藤原俊成のもとに引き返し、自分の歌が千載集に載るよう俊成に託していきます。忠度の歌は一首だけ、詠み人知らずとして掲載されることになりました。
(第十九句) 春宵の神社に残る能舞台 典子
このエピソードは室町時代になって、世阿弥作と伝承される能『忠度』によって広まっていきます。ただしこの能では、忠度の亡霊は、詠み人知らずではなく忠度の名でもって載せて欲しいと嘆願しています。
(第二十句) 流れ流れて壇ノ浦まで 紀子
一の谷で敗れた平家は屋島を経て壇ノ浦にまで流れ着きます。
(第二十一句) 青空の下の大仏拝みをり 典子
平家滅亡後、焼失した東大寺の大仏殿の再建計画が起こり、その資金集めのために西行は鎌倉を経て奥州平泉に向かっています。西行は鎌倉では頼朝に、平泉では秀衡に面会していますが、どれだけの資金を集められたのかが気になるところです。
(第二十二句) 千金求め腰に拳銃 游々子
一攫千金を求めてカリフォルニアに集まったならず者たちを連想しました。いわゆるゴールド・ラッシュです。
(第二十三句) ウクライナブルー真夏の水平線 紀子
ウクライナの国旗は青と金色で出来ています。金より国旗を連想したものと思われます。
(第二十四句) ナイチンゲールのクリミア思う 二宮
19世紀にはクリミア戦争というのがありました。この戦争ではイギリスとフランスが参戦しロシアは敗北することになりました。
(第二十五句) 大銀杏みあぐ博多の芸者衆 游々子
大相撲九州場所ではウクライナ出身の安青錦が見事優勝しました。アメリカの支援が十分でないウクライナ国民にとって大きな励ましとなったことでしょう。
(第二十六句) 婚約会見義母の着物で 典子
安青錦の着物姿は良く似合っています。
(第二十七句) 日の本とラオスを結ぶ姫の旅 紀子
折りしも天皇家の皇女がラオスを親善訪問。日本の着物とラオスの民族衣装を着分けられていました。
(第二十八句) コーヒーの香りメコンの流れ 二宮
ベトナムもそうですが、近年ラオスではコーヒーの生産量が伸びてきています。ラオスのコーヒーはアラビカ種で、苦味が控えめで、ほのかな酸味と甘味のある爽やかで素朴な風味となっています。
(第二十九句) 外つ国に生きて眺むる今日の月 典子
最近は外国で働く人が増えて来ました。阿倍仲麻呂もその一人であったと言えます。
(第三十句) 歌心ある関の防人 游々子
奈良時代の防人も、遠い任地を外つ国と思ったに違いありません。
(第三十一句) それぞれにふるさとありて大相撲 二宮
欧州出身の横綱はまだいないので、安青錦には頑張ってほしいものです。
(第三十二句) 化粧廻しに思ひを込めて 典子
安青錦の化粧まわしは、米国人芸術家のキース・ヘリング(1958~90年)の世界平和を訴えた作品をあしらったもので、戦禍の母国を思う気持ちが込められていると話題をよんでいます。
(第三十三句) 人の世は光織りなす万華鏡 紀子
戦禍の母国を離れて日本に来た青年がわずか2年で、大相撲の幕内優勝を果たすとは、人生は将に光織りなす万華鏡と言って良いでしょう。
(第三十四句) DNAは螺旋階段 二宮
その階段は巡り巡って、DNAの螺旋階段の様です。
(第三十五句) 花の曇呼び売りぬける王子道 游々子
ハッピーエンドを詠もうとする挙句の前の第35句は、それに繋がるものを詠む必要があります。本句は江戸の長閑な光景を詠んでいて、”呼び売り” とは往来を声を出しながら物を売る行商人のことで、また ”王子道” とは日本橋から飛鳥山へと続く道のことです。飛鳥山は八代将軍吉宗が庶民の憩いのために桜を植えさせたところで、呼び売りは飛鳥山に向かって進んでいるという構図になっています。さあこれでハッピー・エンドの挙句をと、お願いしています。
(挙句) 茶屋の軒下初燕来る 典子
挙句は ”茶屋” で江戸の長閑な雰囲気を引き継ぎ、更に ”初燕” が幸せを運んでくるものと連想させ、一連の巻物をハッピー・エンドで締めくくっています。
コメント by 游々子
以下はChatGPTによる講評です。
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まずは完走おつかれさまでした。
全体として、とても「現代らしい大きなスケール」と「古典への眼差し」がうまく同居した巻だと感じました。
1.巻全体の印象
- 空間のスケール
琵琶湖・湖西から始まり、福井・奈良・柳生 → アメリカ西海岸・ルート66 → 宇宙・ジュラ紀 → ウィーン・ベルサイユ → 須磨・一ノ谷・壇ノ浦 → 東大寺・平泉 → カリフォルニアのならず者 → ウクライナとクリミア → 博多・九州場所 → ラオス・メコン → 古代の防人 → 大相撲 → DNA → 江戸・王子道 → 江戸の茶屋と初燕
……と、見事に「地球一周+時空超え」の旅になっています。 - 時間のスケール
ジュラ紀の祖先、猿の惑星、DNA と、進化・歴史・戦争・移動・ふるさとが一本の川のようにつながっていて、「紅葉空」という発句の高みから見下ろした人間世界の変転、というテーマが自然に浮かび上がっているように感じました。 - 式目的にもきれい
- 発句:秋(紅葉空)
- 月句:13「月冴ゆる猿の惑星まだ未完」
- 花:35「花の曇」→挙句の春へ
- 恋:10「この世で君と出逢ひし奇跡」一点にとどめてある
季の配分も、古典的連句に比べて自由さはありますが、現代連句としてはバランスよく収まっています。
2.前半(1〜12句)― 湖西から宇宙・進化へ
発句〜四句
- 発句「湖西行くメタセコイアの紅葉空」二宮
句そのものの完成度が高く、説明文を読むと実景の厚みがさらに響きます。
「紅葉空」という上五下五のまとめ方が、並木の高さと空の抜けをよく表していて、発句にふさわしい伸びやかさです。 - 脇「天秤棒の揺れる鯖道」游々子
湖西から、すぐに生活感と歴史の香りのする一句を添えたのが巧いですね。
「揺れる」が動きと時間を入れてくれて、発句の風景が一気に“人の往来”のある場になっています。 - 三句「秋晴の恐竜館は賑はひて」典子
- 四句「寧楽の井戸水清らかに」紀子 湖西→鯖街道→福井→奈良と、日本海〜内陸への歴史・地理の移動が自然です。三句で「恐竜」を出しておき、後半のジュラ紀・祖先への展開の伏線にもなっているのが、巻全体で見ると効いています。
五〜八句:柳生からルート66・西海岸へ
柳生の里からバイパス、そしてルート66・西海岸へと一気に飛ぶあたり、
「道」をテーマにしたスライドが鮮やかです。
- 7「ひた走るルート66の道」
- 8「西海岸の日の出を眺む」
どちらもやや説明的な名詞が多いですが、連句としては
「バイパス → ルート66 → 西海岸の夜明け」と
視点とスケールを拡げていく役割をしっかり果たしています。
九〜十二句:星・祖先・進化
- 9「星恋し少年レンズを磨きいる」二宮
ここ、とても好きです。西海岸の日の出から「星」に飛び、少年のロマンに着地する、心の内側への転換になっています。 - 11「ひっそりと過ごすジュラ期の吾が祖先」游々子
作者注で説明された内容が、そのままうまく句に凝縮されていて、
ユーモラスでありながら哲学的でもある一句。
「吾が祖先」と言い切ったのが軽妙で、連句ならではのスケール感です。 - 12「花鳥風月進化それぞれ」
九〜十二句は、“宇宙・進化篇”の締めくくりとして、よくまとまっていると思います。
3.中盤(13〜24句)― 月・音楽・ヨーロッパ・平家・戦争
13〜16句:猿の惑星と『冬の旅』、ベルサイユ
- 13「月冴ゆる猿の惑星まだ未完」紀子
ここが月句として効いていますね。
「まだ未完」の措辞が、この後の歴史・戦争・現代社会への展開に自然に橋を架けています。 - 14「『冬の旅』なるウィーンの像よ」游々子
- 15「抱かれて赤子泣き止む子守歌」典子
- 16「光と翳のベルサイユ宮殿」紀子
シューベルト → 子守歌 → 光と翳のベルサイユと、
ヨーロッパ近代の光と影が、静かに浮かび上がる組み立てです。
連句としては、音楽→赤子→宮殿と、しっかり「付け・転じ」が効いています。
17〜20句:須磨・忠度・能『忠度』・壇ノ浦
須磨〜千載集〜能舞台〜壇ノ浦と、
ここはとても連句的に美しい歴史連鎖になっています。
- 18「千載集の詠み人知らず」游々子
ここは構想も背景も含めて、とても連句向きの一句。
説明文を読むと、「一の谷〜忠度〜詠み人知らず」が見事に凝縮されているのがよくわかります。
17〜20句は、流れとしてほぼ理想的と言ってよいと思います。
21〜24句:大仏〜拳銃〜ウクライナ〜クリミア
ここはかなり攻めた配列ですが、現代連句として面白いところでもあります。
- 21「青空の下の大仏拝みをり」
平家滅亡後の大仏再建に思いを飛ばしつつ、ここで一息鎮魂。 - 22「千金求め腰に拳銃」
大仏ののちに、いきなり腰の拳銃へ飛ぶのが強烈。
ただ、この「暴力」の気配が、続く
23「ウクライナブルー真夏の水平線」
24「ナイチンゲールのクリミア思う」
と、戦争・紛争の連鎖へ自然につながっていきます。
もし式目を厳密に言えば、戦争・暴力イメージが22〜24と少し長く続くので、
どこか一箇所で、戦争色の薄い方向に寄せる手もあったかな、という程度。
ただ、今の世界状況を思えば、この連鎖は巻全体の“現代性”の核にもなっていて、
ここは作者の選択として十分ありだと感じました。
4.後半(25〜36句)― 九州場所からラオス・メコン、DNA、江戸の春へ
25〜32句:相撲とウクライナ、ラオスとメコン
- 25「大銀杏みあぐ博多の芸者衆」游々子
戦禍の国から来た力士と、九州場所・芸者衆。
華やかさと哀しみが共存していて、ここは非常に現代らしい一段です。 - 27「日の本とラオスを結ぶ姫の旅」
- 28「コーヒーの香りメコンの流れ」
相撲の土俵から、皇族の親善・ラオス・メコンへと視野を開いていく流れが自然です。
戦争から、文化交流・生活の匂いへ、「光」の側へ少しずつ戻っていく印象があります。
29〜34句:外つ国・防人・大相撲・DNA
- 29「外つ国に生きて眺むる今日の月」典子
- 30「歌心ある関の防人」游々子
ここ、とてもよい対句になっていると思います。
現代の在外日本人/古代の防人
ともに「外つ国」を意識しながら月を仰ぐ、という構図が、
歴史のレイヤーを重ねて見せてくれます。
- 31「それぞれにふるさとありて大相撲」
- 32「化粧廻しに思ひを込めて」
大相撲パートの締めくくりとしても綺麗ですし、
「ふるさと」「思ひ」が、33「人の世は光織りなす万華鏡」への橋渡しになっています。
- 34「DNAは螺旋階段」二宮
ここも好きな一句です。
やや説明的ではありますが、33の万華鏡から、
人生→世代→DNAへと視点をぐっと抽象度高くまとめた感じがします。
35〜36句:江戸へ降りて、春の初燕で締め
- 35「花の曇呼び売りぬける王子道」游々子
挙句前として申し分ない一句だと思います。
「花の曇」で季を立て、「呼び売り」と「王子道」で
江戸の生活感・音・距離感をさりげなく出して、
幸せな春の気配へ、すっと視線を落としているのが見事です。 - 挙句「茶屋の軒下初燕来る」典子
花曇りの王子道から、「茶屋」を媒介にして江戸の町筋を引き継ぎつつ、
初燕という、とても縁起の良い季語で締めくくり。
発句の「紅葉空」から、挙句の「初燕」まで、
空を見上げる視線が一本通っているのが、
巻全体として美しい構造になっていると感じました。
5.全体を通しての小さなコメント
- 情報量の多さ
付記の解説を拝読すると分かるように、
お三方+游々子さんの「歴史・地理・美術・音楽」の蓄積がすごく豊かで、
それが句の背景にぎっしり詰まっています。
句自体は概ねうまく“圧縮”されていますが、
ところどころ、やや説明的・叙述寄りに感じる句もあります。
(例:7・8・24あたり)
とはいえ、連として読めば「知的旅行記」としての魅力が勝っていて、
これは一つの作風として十分成立していると思います。 - テーマの連続について
22〜24の戦争ライン、
28〜32の相撲・ラオス・ふるさとラインなど、
題材がやや長く滞留する部分もありますが、
そのぶん読後の印象が「大きな世界を旅した」というものになっており、
今回のタイトル「紅葉空」とも好相性だと感じました。
6.総評
- 発句・挙句ともに安定して高水準で、
- 中盤には須磨〜忠度〜壇ノ浦の古典エピソードの連鎖、
- 後半にはウクライナ〜九州場所〜ラオス〜防人〜DNAといった
現代と歴史・科学をつなぐ大胆な展開があり、 - しかも最後は江戸の王子道と初燕で、
ふっと人肌のぬくもりに戻って終わる。
とても読み応えのある、
「游々子連衆らしいスケールの大きな巻」になっていると感じました。
もし次の巻で意識するとしたら、
- テーマ(戦・相撲など)が連続するところを、
一句だけ全く違う方向に「ずらして」みる - 抽象名詞(安定・奇跡・進化など)を少し減らして、
具体物で言い替えてみる
あたりを意識なさると、
さらに連句としての「間合い」がよくなりそうです。
とはいえ、この『紅葉空の巻』は、
今のお仲間のカラーがはっきり出た、
とても印象に残る一本だと思います。

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