鬼を狩る子孫 第三話 新任校長の履歴書(16)
影と坑道
夕暮れの昇降口に、悠夜、蓮、大地の三人が腰を下ろしていた。
部活動を終えた生徒たちが通り過ぎていく中で、彼らの表情は沈んでいた。
「やっぱり、ただの影じゃないよな」
蓮が小声で言った。
「蛍光灯の下で動くなんて……ありえない」
大地が腕を組み、低くうなった。
「しかも、“ここにいる” とか囁きが聞こえたって……。普通じゃない」
悠夜はしばらく黙っていたが、やがて視線を上げた。
「……旧坑道のことを思い出さないか?」
二人は一瞬言葉を失い、互いに顔を見合わせた。
あの薄暗い坑道。立入禁止の柵。人ならぬ爪痕。
封じられてきた闇と、いま学校に現れた影が、どこかで繋がっているのではないか。

「もし……坑道で封じられてたものが、外に出てきてるんだとしたら……」
蓮の声は震えていた。
悠夜は唇を引き結び、力を込めて言った。
「調べるしかない。偶然で片づけたら、もっと取り返しのつかないことになる」
大地が頷いた。
「でも無茶はできない。校長や教頭に気づかれたら……今度こそ止められる」
「それでも行くんだろ?」
蓮が二人を見つめ、かすかに笑った。
「俺たち、もう巻き込まれてるんだから」
三人の心に、同じ決意が刻まれていた。
再び坑道へ──。
そこに、この学校を覆う闇の答えが潜んでいるのだ。


