鬼を狩る子孫 第二話 影を落とす契約書(8)

紙片の意味を探れ!

図書館を出た三人は、紙片を折り畳んでポケットにしまい、駅前のファストフード店に入った。

「よし、ここなら声をひそめなくてもいい」

悠夜がポテトをつまみながら言う。

「なあ、ほんとにこれ、ただの落書きじゃないのか?」

蓮はストローでコーラをかき混ぜ、半信半疑の顔をする。

「落書きで “仕様違反” なんて書かねえよ」

悠夜が即座に突っ込む。

「でも “確認せよ” って誰に言ってんだよ」

大地が小さく紙片を覗き込みながらつぶやく。

「そりゃあ……俺たちに、じゃないのか?」

「出たよ。悠夜のヒーロー脳」

蓮が肩をすくめる。

創作小説の挿絵

「だって竹内先生の件もそうだったろ。あの時だって、俺たちが見なきゃ誰も助けられなかったんだ」

悠夜の声に、ふたりは言葉を失った。

しばらく沈黙のあと、蓮がふっと笑った。

「じゃあさ、この紙片の “仕様違反” ってやつ。何のことだと思う?」

「たぶん、体育館の工事の資材だろ」

悠夜が真顔で答える。

「それで、確認せよ……って、確認したら俺たち、建築士になれんのか?」

蓮が茶化す。

「俺、算数のテストで赤点取ったんだけど」

大地まで冗談を言い出して、三人は笑い合った。

けれど、笑いが収まったあとには、妙な静けさが残る。

「でもさ、誰が置いたんだろうな……」

蓮が窓の外を見ながらつぶやく。

その言葉に、三人の胸に小さな疑念が芽生えていた。