鬼を狩る子孫 第一話 見えない請求書(19)

(19)
「みんな! おまえらの “いちばん大事なもん” を思い出せ! 勉強でも友だちでもいい! それを心で叫べ!」

竹内先生の影が覆いかぶさるなか、悠夜の声が響いた。

その瞬間、悠夜の脳裏に祠で黒装束の男から聞いた言葉がよみがえる。

「……そうだ、あの時あの人が言ってた。“勾玉は独りの力では完成せぬ” って……!」

(そうか……勾玉は、みんなの心と一緒にあって初めて力を発揮するんだ!)

子どもたちの胸の奥に、小さな光がぽつりぽつりと灯った。
「わたしは……絵を描きたい!」
「サッカーやりたい!」
「友だちと笑ってたい!」

声にならなくても、心で叫ぶたびに、その光は次々と勾玉に吸いこまれていく。

勾玉は脈打つように震え、青白い輝きを増していった。やがてその光は教室いっぱいに広がり、影のもやを押し返す。

竹内先生の影の輪郭が、みるみる崩れていった。

「馬鹿な……子どもの心ごときが……」

苦悶の声をあげる影の口。だが、光は止まらない。

蓮が叫んだ。
「見ろよ! これがオレたちの力だ!」

創作小説の挿絵

悠夜は強く勾玉を握りしめた。
「影喰いなんかに、みんなの “明日” は渡さない!」

光は爆ぜるように広がり、黒い影を一気に吹き飛ばした――。