俳句的生活(293)-芭蕉の詠んだ京・近江(17)最後の旅立ち(2)-

六月や峯に雲置く嵐山 (元禄七年六月初旬)

”六月” は当時は「みなづき」と読み、水の無い月というものでしたが、芭蕉はそれでは句に勢いがなくなるとして、”六”にロクと仮名を付けています。季題は入道雲である「雲の峰」ですが、芭蕉は ”峯に雲置く” と倒置して使っています。門弟への手紙に、この中句の表現に苦心したことを記しています。

陰暦六月は梅雨のあけた真夏で、緑に包まれた嵐山の峰の上に入道雲が湧き立っている、と力強く大きな景を詠んだ句です。

この句は落柿舎で創られたもので、現在の落柿舎は天龍寺から嵯峨野へ入った所に位置していますが、これは去来の死後再建されたもので、当時の落柿舎は渡月橋北詰の少しばかり東の処に位置していました。そこからは標高380mの嵐山が良く見渡せたのです。

嵐山
渡月橋北詰東から見た嵐山