俳句的生活(9)-藤間善五郎ー

藤間善五郎は幕末期の藤間家の戸主で、柳庵という号を名乗った文人です(1801-1883)。好奇心旺盛で行動力もあった人らしく、ペリーが浦賀に来航したとき、50歳を超えているにも関わらず、望遠鏡を携えて浦賀に行き、小高い丘から黒船の中の様子を覗き見したそうです。そのことが彼の著作の中で述べられています。書も能くしたらしく、彼の書いた湯治所山口屋という碑が、江戸末期から明治中頃まで、湯屋のあった場所に置かれています。その湯というのは、藤間家が400石船で物資を伊豆方面に運んだ帰りに湯河原に立ち寄り、樽で買い求めたものだそうです。今そこは、ルニコアオーミナミという洒落たフレンチレストランになっています。ニコはオーナーさんが可愛がっている猫の名前、ルはフランス語で男性名詞につく定冠詞、意味としては大南のニコちゃん、というところでしょうか。内部が白壁になっているこのレストランは家内のお気に入りで、友禅の先生や大学時代の友人とランチ会食をした処です。広い敷地の中には、古民家を改装しての、大南庵というエステサロンもあります。柳庵の碑に掘られている山口屋という屋号は、今のレストランのオーナーさんの名前と一致するので関連があるのでしょう。柳庵、湯屋、エステ、レストランが繋がっているものだと推測しています。

投稿と囲碁とベゴニア快調に 游々子

山口屋湯屋の石碑
フレンチレストラン「ルニコ」
レストラン外観

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