写真で見るプレバト俳句添削（４０）ー２０２３冬麗戦（１）ー
お題： ラッキー
冬麗戦とは、昨年の優秀３３０句より夏井先生が、名人特待生より１０人、それ以外より５人を選抜し、順位を競うものです。名人特待生の１０人は、梅沢、村上、中田、志らく、森口、犬山、藤モン、ジュニア、横尾、千賀。それ以外の５人で、その優秀句を評価されたのは、以下の５人です。
高橋克己 梅雨夕焼タイムセールへ駆ける父
本上まなみ もの言わぬ従弟にサイダー渡す駅
伊集院ひかる 在りし夏選ばなかったフレイバー
森迫永依 いちじくを運ぶ掛け声朝の鐘
キスマイ二階堂 夕月夜一人暮らしの光熱費
２位 本上まなみ 雪虫の第一発見者は次男
いきなり２位が、名人特待生以外から選ばれました！
本上さん：「雪虫を見かけると、しばらくして雪が降る」ということを友達から聞いたのですけど、この冬、雪虫を発見したのは次男だったのですね。やっぱり小さい子の方が自然を見分ける力が優れている。
夏井さん： ”次男” がいいですよね。リアリティーがここにありますね、ちょっと得意げな顔して。いつもはお兄ちゃんに敵わないんでしょうけど、この日だけはすごく嬉しそうに報告すると。そしてこの中句の ”第一発見者” という硬い言葉の使い方も良いですね。こう言われることで次男のプライドが高まり、そこに親の優しい視線もある。テーマの「ラッキー」との関連性ですが、たかが雪虫を見付けたこと、それを家族みんなで良かったね、ラッキーだったねと喜び合える、その家族の感性が素敵です。幸せを形にしたような一家と思って。
游々子： ２位だけのことはある素晴らしい句です。俳句技術的にみると、”発見” という行為を動詞として使用せず、”発見者” という名詞の中に閉じ込めたことによって、句が引き締まったものになりました。
１０位 フルポン村上 雪晴やチャームへ託す運選ぶ
永世名人村上さんは、観客の予想は１位であったのですが、１０位に沈んでしまいました。
村上さん： チャームとはペンダントなどに付けるあれですね。幸運をモチーフにしていることが多く、クローバー・ハートとか金運をイメージして色々ある。”チャームへ託す” と ”選ぶ” の言い方がいいかなと思った。
森口さん： 雪晴れのキラキラした感じとチャームの組み合わせがすごく良い。けど ”チャームへ託す” ”運選ぶ” のリズムがちょっと。。
横尾さん： もう分かんないです。
浜田さん： 選ばれんからもう色んなこと考えているんやろ。
夏井さん： 雪晴れとチャームの取り合わせは良いですね。問題は取り合わせではなく、語り方だと思います。”託す” ”選ぶ” の叙述がやはり散文的だと。それを今森口さんが指摘なさったのではないかと。今ご本人がおっしゃったように、どんな運なのかを明確に書いた方が良い。例えば、”託す” ”選ぶ” と動詞の二つは遠慮して頂いて、雪晴やの後に、恋愛運・金運を具体的に書く。本人がおっしゃいましたから金運で。
添削 雪晴や金運のチャームきらきら
游々子 俳句では動詞をなるたけ使わず、名詞だけの構成で作ったほうが、句は引き締まり映像も鮮明になってきます。その理由は、名詞それ自体に動詞の意味が含まれているからです。そのことより添削で二つの動詞をカットしたのは理に適っています。しかしながら添削句は５・５・７となっているため、リズムは原句同様、良くなってはいません。どうして５・７・５のリズムにしないのか、不思議でなりません。私なら「金運のチャームきらきら雪の朝」と致します。
９位 梅沢富美男 夕の膳二つ「ン」のつく冬至かな
永世名人が二人、１０位と９位になってしまいました。観客予想での梅沢さんの順位は２位でした。
梅沢さん： これは何言っても９位ですから。
浜田さん： ホラ拗ねた。
梅沢さん： 「ん」の付くもの、「にんじん」とか冬至に「ん」が２つ付く食べ物を食べると幸運が訪れると言うんですよ。お膳に乗っていて、あっ今日はその日なんだと思って詠んだんです。
犬山： 冬至に南瓜を食べるみたいな。そういう知識があるとグッと来る。
夏井さん： 一見謎かけのように見えますけど、読み進んでいくと、あっ冬至の南瓜のことですよねと判っていきますよね。で、ご本人は何か凄い事をいい感じで書いた積りかも知れませんけど、スーパーとか行ったら、冬至のポップ結構貼ってありますよ。言ったらこれ、冬至の風習をただ俳句にしてみただけ、そういう感じになっています。
梅沢さん： ああそうかい。
夏井さん： そうだよ。ですからこれは、謎かけにしたいなら、語順が間違っているんです。先に「夕の膳」と答えを言っているでしょ。最初は「ん」からですよ。
添削 「ん」のつくもの二つ冬至の夕の膳
梅沢さん： どうも有難う御座いました。もう二度と会う事ないから。皆さんとももうタイトル戦出ないですから。頑張ってくださいね。
游々子： この添削は冴えています。劇のあらすじを句にする人もいますが、参考になる添削です。
