写真で見るプレバト俳句添削(35)ー(8月11日#1)ー

今回のお題は金魚すくい。前半の出場者は、石塚英彦、鈴木絢音、望月理恵、オダウエダ植田 の4人です。

金魚すくいプレバト俳句添削

石塚英彦 夏祭り金魚に心すくわれて  才能無し3位 30点

石塚さん: 夏祭りが出来る喜びと、本来は金魚は掬うものじゃあないですか。金魚の姿を見て、心が救われてホットしたという、、

浜田さん: 藤モンさん、鼻で笑っている?
藤モン: このどうですかね。やったやった感!

夏井さん; 気持ちは分かるんですけど、難点が3つ。”金魚にすくわれました” あなたが一番工夫した処ですかね。これが、やったやったぞ感に満ちている。2点目は、夏祭り・金魚、これだけベタに季重なりに持って来るというのは、技術うんぬんではなく、知識の問題。3つ目は、”心すくわれて” というあなたの一番大事な部分、というのは実は、読者に置いておく部分を、これ見よがしに書いた、という処なんですね。

添削 生き難し時代金魚はいきいきと

こうして金魚の表情を書く訳です。「生き」と「いき」が偶然リフレインしましたね。

石塚さん: 消されてないの、金魚だけですね。

游々子: 添削では、夏祭りの金魚掬いであったことが、判らなくなっています。本句のポイントは、”すくわれて” が、金魚掬いと、心が救われるという2つに掛けていることであって、添削ではむしろ、駄洒落的であるかも知れませんが、この ”やったぞ感” を追求すべきだと思います。私なら、「金魚すくう利他の講話を聴きし夜」と致します。

歎異抄プレバト俳句添削

(amazonより)


鈴木絢音 琉金の絵はがき二枚かき氷  才能あり2位 70点

琉金絵葉書プレバト俳句添削

金魚の絵柄のはがき箱  (amazonより)

鈴木さんは、乃木坂46のメンバーです。

鈴木さん: 夏見舞いの絵葉書で、金魚の絵柄2枚と、かき氷の絵柄1枚を買ったという句です。

浜田さん: 藤モンさん、また鼻で笑ってる!
藤モン: 両方とも絵葉書か。もうちょっとコツ掴んだら、直ぐに1位になれる。
浜田さん: 無理があるわ。

夏井さん: 先ずは私がこの句をどう分析したかを説明します。琉金(金魚の傍題)とかき氷で、季語が二つ入っていますが、絵葉書の金魚だと季語としての力が弱まる。主たる季語はかき氷になりますよ、という季重なりを成立させる一つのやり方、それに挑戦してくれている句だと思いました。ですからこの句は、”かき氷” をもうちょっと主役にするのであれば、「かき氷さくさく絵葉書は琉金」のようにもってくれば、するっと行くんじゃない、とここに立っていたのですが、今あなたの説明を聞いて、ええー!? っとなりました。これはアウトだよ。点数を半分にします。

浜田さん: えっ、半分やったら才能ナシ?

夏井さん: そうです!

???: 久しぶりに見た!

夏井さん: もしそうだとしたら、根本的に変えないと伝わらないんです。先ず絵葉書を変えましょう。ここからです。

添削 絵葉書を買う琉金とかき氷

そうすると琉金とかき氷が絵葉書になるので、どっちも季語の力が失せて、夏見舞いの句を作ってみましたということまでは、何とか持って行く事は出来ます。この番組というのは、自分の表現したいことに言葉をちゃんとくっつけるのが査定になりますね。あなたよりももっと苦難を抱えて来たのが犬山紙子さんですからね。次こそは一緒に頑張りましょう。

游々子: 藤モンさんは、直ぐに急所を掴みましたね。この句は着想が悪すぎて、どう添削しても良くはならないタイプの句です。


望月理恵  秋ちかし予期せぬ家族赤い君 最下位 10点

ペットショッププレバト俳句添削


望月さん: 家族になるペットを飼うのは相談して決めるじゃないですか。でも金魚掬いだけは誰も考えずに、持って帰ってきて急に家族になる。ちょっと嬉しい気持ちも入るという、、

横尾さん: 普通に考えたら怖い句ですよね。予期せぬ赤い君って、ホラーですよ。

夏井さん: これは困惑ですよ。横尾さんはホラーっておしゃって、それもあるなと思ったけど、私はお父ちゃんが再婚相手を連れて来て、その女が、赤い服・赤い髪・赤い口紅・赤い爪ってみたいな感じ。どっちにしても、自分の思っていることが一切読み手に伝わらない、というタイプの才能ナシです。

添削 あっさりと家族になりぬ出目金魚

游々子: この上五では、夜祭の金魚掬いで買った金魚であることが伝わりません。金魚を買って家に帰ると、まだ夜祭の笛が遠く聞こえてくる、という状況にすれば余韻すら出て来ます。私なら「遠笛や家族となりし出目金魚」と致します。


オダウエダ植田  次こそは捲る(まくる)浴衣にはぜる水 才能有り1位 71点

金魚すくいお嬢さんプレバト俳句添削

植田さん: 好きな子と金魚すくいに行った時に、隣で一生懸命な姿を見て、手についた水と金魚が跳ねる姿で、自分の恋心がどんどん熱くなっていく姿と、、

夏井さん: ”次こそはと” ”捲る” と、この勢いは何だと思ったら浴衣、これが季語となりますね。捲るって何だと、水が跳ねるとしか書いてないわけですね。しかしこれを読んだ時に、あ~これは金魚掬いに違いないと。浴衣という季語を使って金魚掬いの場面を描くという、ここがなかなか技術のいるところ。直しはなしです。

游々子: 前の才能無しの三人の句とは大違いです。最後にこのような句を見て、気持ちが立ち直りました。金魚という言葉を使わずに金魚掬いの場面を描く、このようなテクニックを使って別の情景を詠んでみようと思います。