俳句的生活(201)ー藤間柳庵揮毫の石碑(4)ー
最後に、藤間家(現資料館)の庭先に置かれている石碑を紹介します。


これは唐代の詩人、陸亀蒙という人の、「鄴宮」という詩の碑です。碑には蝶の絵が描かれていて、詩は柳庵が愛誦するほど好んでいたものです。脇に設置されている説明板には、口語での意訳が書かれていました。
花びらは散り飛び、蝶は驚き、春は過ぎ行こうとしているが、一向に愁いを感じない。
水辺の宮殿、雲のたなびく回廊には、この世のものとは思えぬ春の華やかさが漂う。
暁の中、美しく化粧した女官千人が、
白い桜桃の花の下、紫色の頭巾をつけて集う。
資料館は、金曜と土曜のみ開館されています。ここには1年前にも伺っていて、富永さんという教育委員会にお勤めだった方の、丁寧な説明を再び受けることが出来ました。柳庵は書を揮毫するだけでなく、自らの楽しみのために、作品を遺しています。その中に、四本の竹に、蘭・竹・梅・菊、すなわち「四君子図」を描かせ、柳庵が賛をつけたものがありました。


これは柳庵の落款です。
庭には金木犀の大樹が、香りを撒き散らしていました。本ブログを読まれた方には、是非とも資料館へ行かれることをお勧めします。