写真で見るプレバト俳句添削(12)-5月5日(1)ー

本日は、SDGs推進週間に因んだ生物多様性ということで、”動物図鑑” がお題です。今回も、初級者の査定ランキングと、名人・特待生の昇級昇格試験の2回に分けて、リポートします。

アサギマダラ

原句 胸躍る図鑑に百獣春の宵  おいでやす小田 凡人2位 65点

春の宵

小田さん: 子供の頃、動物図鑑を貰って食い入って見ていたら、夕方になっていた。

梅沢さん: 言葉の使い過ぎ。”胸躍る” で別のことを言っていたら、1位であった。
浜田さん: 例えば?
梅沢さん: 急に言われても。

夏井さん: 勉強してるじゃあないですか。ただの声のデカい人ではなくなった。”胸躍る” とは言わないで、”あ~夢中になってたんだ” と思わせるのが俳句というもの。

“宵” は映像を持ってないので、”夕焼(ゆやけ)”としてみた。

添削 百獣の図鑑や春の夕焼はや

この添削の問題点は、子供の時の出来事であったことが詠み込まれてないことと、夕焼だけで、時刻の過ぎたことは伝わることです。私なら、夕星(ゆうづつ)という古く美しい言葉を使って、幼い頃のメルヘン的な雰囲気を出したいと思います。「百獣の小学図鑑春夕星」。


原句 懐かしやタケノコ掘りを兄たちと  研ナオコ 才能なし最下位 35点

筍掘り

夏井さん: 普通の文章のような語り口になっている。読んだ時に何の違和感もないが、何の魅力もない。”懐かしや” とストレートに言わず、”懐かしんでるんだろうな” と思わせるのが俳句。動物・植物の季語は、原則的に漢字で表記するものです。

添削 筍を掘りしかの日や兄二人

原句は、いわゆる説明的な句で、初心者の全てが一度は経験する過程です。なるほどと思わせる措辞が必要で、添削ではそれを幾つか示して欲しかったです。


原句 ノスタルジー鱒あてに読む魚図鑑  キスマイ宮田 凡人3位 55点

鱒あて

宮田さん: 自分が子供の頃、父親が、魚食べながら酒飲みながら、自分の魚図鑑を見ていた。めちゃ父ちゃん、残酷じゃん、と思った。

千原ジュニア: 懐かしさを、”ノスタルジー” に替えたところで、どういうものでもない。

夏井さん: ノスタルジーとしたらいいだろうという、この浅はかな、、、

添削 鱒あてに子どもの頃の魚図鑑

これだと、酒を飲んでいるのは自分ということになります。少なくとも、”父” を入れる必要があるのではないでしょうか。「鱒あての父のかの日や魚図鑑」


原句 夏近し書肆の森ゆく子象かな  ファーストサマーウイカ 才能あり1位 70点

本屋

ファーストさん: 本屋で子供が絵本を抱えて歩いていくのが、子象に見えた。

ジュニアさん: めちゃくちゃ難しいことやって成功した例、すごい!

夏井さん: 本屋を森に例えるのは楽しい発想。そこを子象が歩いている、これも良い。空想的な句だけど、決してその空想が浮ついていない。”夏近し” という季語がしっかり主役に立っている。子象が元気に歩いているのが伝わり、上質のアニメーションを見ているような一句です。直しはありません。

この句の成功からは、俳句では素材の選択がいかに大切であるかを、痛感します。