写真で見るプレバト俳句(7)-添削3月31日 春光戦本戦(2)ー

原句 刀折損続ける殺陣や花吹雪  キスマイ北山 8位

殺陣

舞台の途中で、刀が折れるというハプニングを詠んだ句、だそうです。夏井さんのコメントは、殺陣があることより、刀は省略可ということでした。

添削 花らんまん折れて続ける殺陣シーン

原句、添削ともに、”続ける” が句の中心となっていますが、私は、刀が殺陣の中で折れることは、演出であるとして、その瞬間に花吹雪が舞う、とした方が、切り口の鋭い俳句になると思います。「刀折る殺陣一陣の花吹雪」


原句 長閑なり細くたなびく湯の放屁  梅沢富美男 7位

温泉

なんと、永世名人が7位に沈んでしまいました。梅沢さんのコメントは、”この年齢になると下半身がゆるんでくる” とのことでした。東国原さんと夏井さんは、”たなびく” は煙などが、横に流れていくことであって、言葉の使い方が間違っている、との指摘です。

添削 長閑なり湯にたなびける放屁の泡

夏井さんは、”泡” を付加することで、多少映像化し、字余りが泡の空気感にもなるいうことですが、私はそもそもこの題材では、俳句にならないと思います。俳句はそれを鑑賞して、”心地よさ” や ”なるほど” といったものを感じさせるものであるべきで、ただ身の周りの意外性を詠んだものは、ガラクタ俳句でしかありません。

原句 カンガルー泊めて2DK朧  東国原英夫 最下位

カンガルー

なんと、もう一人の永世名人が最下位となってしまいました。私は、この句が何を意味しているのか、全くわからず、俳句を始めたばかりの人の句のように、思いました。東国原さんの説明は、30年前の番組で、カンガルーボクシングをしたことがあり、動物プロの人が帰ってしまったので、仕方なくカンガルーを連れて帰ったところ、カンガルーがじっと自分を見ていた、ということがあったそうです。

夏井さんは、”カンガルーと朧の取り合わせは、すっごく魅力がある。ただ、”泊めて2DK” が具体的過ぎて判らなくしている” とコメントし、

添削 カンガルー預かっている朧かな

と添削したあと、”朧の句として、こんな素晴らしい句はない、と自分で直しながら感動している。こうなっていたら、今日はダントツの1位” とのことでした。ハプニング性がダントツであることは、その通りですが、取り合わせとして、上五はいくらでも動きますし、そんなに凄い句とは、私には思えません。


原句 馬の子に弄られてゐるアナウンサー  森口瑤子 2位

仔馬

”馬の子” が春の季語だそうです。夏井さんの指摘は、この中句だと、軸足がアナウンサーの方へいっている、主役は季語にしてほしい、というものでした。ジュニアは、この句は馬場さんに詠んでほしかった、とコメントしていました。

添削 馬の子になつかれ過ぎてアナウンサー


原句 影のような野良犬に桜ながし  立川志らく 1位

野良犬

永世名人二人が、ハプニング性を追求しすぎて、珍奇な句で沈没してしまい、破調の志らくさんが、ついに1位となりました。夏井さんによれば、”桜ながし” は鹿児島の方言だそうで、桜を散らせてしまう長雨 のことだそうです。ネット歳時記には載っているかもしれないが、まだほとんどの歳時記には載っていない季語であるとのことでした。薄墨色の絵画をみているよう、との絶賛です。

夏井さんの総括は、破調の句を1位にすることは、勇気がいったが、本人がやろうとしていることはちゃんと出来ているから、文句を言う訳にはいかない、ということでした。

私が選者であれば、破調はリズム感に劣るとして、相当の減点とします。この句を五七五で詠めないか、考えてみました。「野良犬を抱きしむ桜ながしかな」などなど。

今年の春光戦の結果は、以下の通りです。

1位 立川志らく
2位 森口瑤子
3位 フルポン村上
4位 キスマイ横尾
5位 馬場典子
6位 藤モン
7位 梅沢冨美男
8位 キスマイ北山
9位 千原ジュニア
10位 東国原英夫

次回タイトル戦のシードは、1位だけとのお達しでした。

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