写真で見るプレバト俳句添削(1)-(3月3日)ー

TBS系木曜夜7時からのプレバトは、夏井いつきさんの痛快な添削によって、現在の俳句ブームをもたらした画期的な番組です。夏井さんの添削によって、駄句が良句に変貌していく様は、痛快極まりません。が一方で、これはと思うような添削があることも、多くの人が感じていることと思います。本ブログでは、新たに「プレバトを斬る」というカテゴリーを設け、番組で添削されたいくつかの句より、二重丸(◎)を付けたくなるもの、疑問符(?)を付けたくなるもの取り上げて、自分なりの感想を述べていくことにします。

3月3日は、雛祭りがテーマでした。

原句 お雛様見向きもせずにミニ四駆    ユースケ 40点

ミニ四駆ープレバト俳句添削

この句への評価は、場所が判らないということと、中七の「見向きもせずに」が説明的であるというものでした。そこで夏井さんの添削は、

添削 雛売り場かけぬけミニ四駆売り場

というものでしたが、私には(??)です。その理由は、五七五のリズムが取れていないことと、”売り場” が二回出ていて、冗長さを感じるからです。夏井さんは、添削しても普通の句でしかないとおっしゃっていましたが、その通りで、その原因は、”売り場” を句の中核にしているからです。”売り場” からは詩情は生まれてこないと思います。私なら、「ミニ四駆を雛より欲しい子供かな」といたします。


原句 言えぬまま飲み込む恋と雛あられ   ハンクン 50点

雛あられープレバト俳句添削

この語順では、雛あられまで飲み込んでしまう、という出席者からのコメントがありました。そこで夏井さんの添削は、

添削 雛あられ言えないままの恋ひとつ

というものでした。夏井さんは、原句には詩情が感じられて、将来性があるというものでしたが、添削で下五に、”ひとつ” というような言葉を入れることで、雛あられの一粒一粒とイメージが重なるように、言葉の操作を覚えることが必要とのことでした。ただ、私には中七の、”言えないままの” に散文的な臭いがしてしまいます。ここは我が俳友の桑梓さんの、”卒業す水溶性の恋のまま” の中七の措辞をお借りして、「雛あられ水溶性の恋ひとつ」とするのが、より詩情を増すものと思います。


原句 春夜のおもちゃ屋プラレールのやわやわ   横尾

プラレーループレバト俳句添削

梅沢永世名人から、五七五で詠んでほしい、というコメントがありました。夏井さんは、五七五は基本であると、梅沢さんのコメントを追認しましたが、やわやわというオノマトペが効いているとして、直すところなしで、8段への1ランク昇格と評価しました。私なら五七五で、「やわやわと遊ぶ春夜のプラレール」といたします。


原句 お歯黒のかすかにのぞく雛かな   梅沢

お歯黒ープレバト俳句添削

夏井さんの評価は、中七にまた説明癖が出ていて、ボツとするものでした。夏井さんの添削は、

添削 お歯黒のかすかに雛の笑(え)まひけり

これは素晴らしい添削です(◎◎)。”のぞく”は不要で、代わりに “笑” を入れて句に深みを与えています。この番組を見て良かったと思わせる添削でした。


祖母の雛満洲國の番地あり   游々子

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