写真で見るプレバト俳句添削(2)-(3月10日) 春光戦Aブロック予選ー

お題は ごはんorパン です。

ごはんー添削

原句 寒明のキャンプごはんはアルデンテ  パックン 最下位

パスタ―添削

梅沢さんは、予選枠抜けのダークホースとしてパックンを推していて、この句にも、悪くないとの評をしていました。横尾さんは、この句が最下位とはレベル高いと、驚いていました。

アルデンテとはイタリア語で、パスタなどの茹で方で、芯が残っているものを意味します。パックンの説明では、子供さんの卒業記念にキャンプをして、飯盒で炊いたご飯が固かったので、それを句にしたとのことでした。

夏井さんの評価は、パックンは今まで、季語+12音のパターンの句しか作っていなかったのが、二つの季語の合体(キャンプは夏の季語)と、句またがりにチャレンジしていることを、称賛していました。ただ、パックンがそのような体験をしているのなら、季語として寒明ではなく、受験後のキャンプ とか 卒業記念のキャンプ とした方が 家族の喜びが伝わってきてベターであるとのことでした。(単なる季節の季語より、物語性のある季語を選んだほうが、句に広がりが出る場合があるという指摘で、勉強になります。)そこで添削は、

添削 卒業記念キャンプご飯はアルデンテ 

というものでした。私の疑問は、これで果たして順位を上げることが出来るだろうか、ということで、違和感は、アルデンテが卒業の喜びと結びついていないことでした。「卒業す家族キャンプの飯盒めし」とした方が、すっきりしていないでしょうか。


原句 トラックター祖父の膝乗る春休み  千原ジュニア 補欠

トラックター―添削

ジュニアは番組収録の日、家族に感染者が出たということで、自宅からの参加でした。子供の頃の実体験を詠んだ句で、子供が詠んだように、難しい言葉を使わなかった、それが吉と出るか凶と出るか、というコメントがありました。

梅沢さんも藤モンも、良い句であると評価していました。夏井さんも、季語「春休み」からは、”耕” のニュアンスがあり、景が見えてくるとして、直しは要らない との評でした。俳句は、表現の技巧以前に、素材の良さが求められるものだと実感しました。しかし、何故1位になれなかったかと、考えざるを得ませんでした。私は、それは矢張り季語の選択であって、春休みから耕のイメージが伝わるとは言え、俳句としては直截に、広々とした光景が見える季語にした方が良いと思うのです。「春光や爺の膝乗る耕運機」


原句 「Where you go ?」機窓に春の星あまた  松岡充 3位

機内食―添削

お題の、ごはんorパン から機内食に発想を飛ばしたこと、季語に柔らかいイメージの「春の星」、「あまた」に未来を感じること、更に冒頭、英語を使うというチャレンジングな句にしたことで、直しなしの評価でした。


原句 選ばざる道過る(よぎる)独活(うど)ほろ苦し  馬場典子 1位

独活-添削

馬場さんの説明: 自分は今47歳で独身、人生は選択の連続であったと思うが、選ばなかった道が、頭をつい過る時がある、そんなとき独活は、ほろ苦い中にもみずみずしさがあって、自分はどの道を選んだとしても、そこには苦しみも喜びもあったであろうと思ってしまう、というものでした。非常に深い句で、これでは他の3人の句を、どんなに直しても、この句を越えることは出来ないだろうと思いました。

夏井さんが、この句のリズムは漢詩的で、五七五を裏切っている、と述べたのには驚きました。評としては、馬場さんのコメントと同じ内容だったのですが、本戦に進むにあたってのアドバイスとして、”選ばざる” の過去形は、”選ばざりける” であると指摘し、次のように添削しました。

添削 独活ほろ苦し選ばざりける道もまた

游々子: 意味はこの添削の方が正しいものになっていますが、私は、下五の ”もまた” に説明的な臭いを感じるのと、リズムも原句の方が、五七五となっていて、私は原句の方を好みます。

本ブログ「プレバト俳句添削」へのリンクは自由です。