添削(14)ーK.Yさん しおさい会(3月)ー

原句 水温む鷺の嘴矢の速さ

この語順だと、鷺の嘴が矢のように速い、という説明文的になってしまうので、倒置してそれを解消します。「矢のごとく鷺の嘴水温む」「矢のごとき鷺のハントや水温む」。

参考例 水温む光速のごと鷺の狩


原句 花の香か色がたよりか蝶の道

この句は、”たより”と”道”によって、花の色香で蝶のとぶ軌道を説明するという 理屈っぽいものになっています。蝶の道を決めている原因を追究するのではなく、蝶と色香との関係を、別の角度で見つめるのが良いと思います。

参考例 蝶々の酔いしる花の色香かな


原句 日輪が寄りてまぶしい福寿草

この句も、“日輪が寄りて” が ”まぶしい” の理由として捉えられています。前句同様に、光と福寿草との関係を、別の角度から捉えるのが良いと思います。「福寿草まとふ光の揺らぎをり」。

参考例 食卓に光のめぐみ福寿草