添削(12)ーT.Kさん しおさい会(3月)ー

原句 いつの間に魚影数増し水温む

確かに、水温む季節になると、魚影が目立つようになりますね。ただ、いつの間にか魚影の数が増えたというのは、散文的な捉え方で、俳句としては、魚が増えたことによって起こっていることを描写した方が、より強い映像を伴うことになり、その方が俳句的となります。「葭きりを囲む魚影や水温む」。

参考例 葭きりに煌めく魚影水温む


原句 蝶愛すデザイナありき表参道

面白い着想です。実際に、表参道にこのようなデザイナの方がいらっしゃるのだと思います。このままでも良いと思いますが、もし蒐集した蝶を展示しているとすれば、それを詠んでみるのも良いと思います。

参考例 青山にケースの蝶の翔ぶがごとく


原句 プーチンはキエフは我が物と獣の眼剝く

100%同意します。プーチンの残虐な侵略は永遠に許すことが出来ないです。ロシアはかって、虎狼の国と呼ばれたことがあります。そのことは、俳句的生活(167)虎狼の国で取り上げていますので、参照してください。

参考例 核をもて世界を脅す虎狼の眼
    春まだ来(き)心の寄(よす)やマリア像