俳句的生活(158)ー芭蕉の句碑ー
芭蕉の句碑は、日本全国に3000基ほどあると言われています。作句数は確認されているもので、982句ですから、一句につき、三基の句碑が造られていることになります。南湖金剛院にある句碑(添付)も、そうしたものの一つです。
父母のしきりにこひし雉子の声
この句碑は、高野山奥の院にある碑を、拓本によって複製したもので、昭和58年に、江戸屋の重田次男氏によって、江戸屋の菩提寺である金剛院に建碑されたものです。
句は、芭蕉が44歳のときに高野山を訪れた時に作られたものです。高野山の句碑は、芭蕉の死後、芭蕉とゆかりの深い義仲寺の無名庵の六世庵主によって建碑されました。書は、南画家の池大雅によるもので、美術史的にも価値の高いものであるといえます。
句からは、行基の和歌「ほろほろと鳴く山鳥の声聴けば 父かとぞ思ふ母かとぞ思ふ」が連想されます。高野山の山深い杉の木立とピッタリと合った名句だと思います。
敗戦忌職なくしたる父戦後