添削(4)ーK.Wさん しおさい会(1月)ー

原句 水仙の埋め尽くしてや伊豆の浜

景色の見える気持ち良い句です。ただ、「埋める」が他動詞なので、上五は、「水仙を」でなければいけません。また「埋める」はいっぱいに満たすという意味を持っていますので、「尽くして」は不要です。埋めるの文語は「埋(うず)む」ですので、それを使います。

参考例 伊豆の浜を埋む水仙二人旅
    水仙の果てぬ小径や伊豆の浜
    水仙の海へと続く小径かな


原句 手袋は赤色毛糸子ぎつねに

絵本「手袋を買いに」のストーリーから取ったものでしょうか。ストーリーをなぞらない工夫が必要です。下五の着地は、俳句的でないです。

参考例 子ぎつねと人情交わす手套かな


原句 冴ゆる夜や火の用心の響きおり

下五の「おり」は「をり」でなければなりません。ただ、「をり」は詠嘆の切れ字ですので、上五の「や」とで切れ字が二つになるので、避けなければなりません。「冴ゆる夜や火の用心の響きあり」。ただ、火の用心は響くものなので、別のことを入れた方が良いでしょう。

参考例 冴ゆる夜や子等の拍子木火の用心