添削(3)-H.Tさん しおさい会(1月)ー

原句 紙垂下り水仙の丘暖かし

水仙に紙垂を持ってきたのは素晴らしい着想です。ただ、「暖かし」という下五が、紙垂と水仙とは別要素のものになっていて、句が散乱してきます。紙垂が装着しているものに替えた方が、映像がしっかりしたものになります。

参考例 水仙の丘の祠や紙垂下り


原句 二人連片方づづに手袋を

句意はカップルが手を繋いであるいていて、外側の手には、一つの手袋を右用左用一つづつに分けて付けている、ということで、着想は素晴らしいと思います。微笑ましいカップル(恐らく十代)の姿が浮かんできます。手のつなぎを明示した方が理解し易くなると思います。

参考例 手を繋ぐペアに手套の一つづつ


原句 コロナ禍の成人式の晴姿

下五の晴姿が平板ですので、今一歩踏み込んだ表現にした方が良いでしょう。「越年の成人式や絶えぬ笑み」。成人式での笑顔やはしゃぎは当たり前のことなので、この1年に何かドラマがあったというような内容に飛躍させた方が良いと思います。

参考例 人それぞれドラマを経ての成人式