添削(2)-M.Hさん 2021年11月 しおさい会ー
原句 木枯や碧眼僧の白き顔
木枯らしの取り合わせとして、碧眼僧を持ってきたのは面白いと思います。しかし、下五の白き顔が、白人の僧であれば当たり前なので、物足りないです。「木枯や一人座禅の碧眼僧」とか「木枯や石の庭掃く碧眼僧」のように、碧眼僧に動作を付けてみてはどうでしょうか。あるいは、次のように感覚を与えると、俳味が出てきそうです。寒しは感覚の説明なので、季重なりには当たりません。
参考例 凩になにやら寒し碧眼僧
原句 黒鳥の赤き嘴波に舞ひ
黒鳥の嘴は赤いので、中七が無駄になっています。白鳥でなく黒鳥を季語にするのであれば、黒鳥から暗示される何かを背景に持ってくるべきではないでしょうか。私には、黒鳥からはチャイコフスキーのバレー組曲「白鳥の湖」の悪魔の娘を連想してしまいます。
参考例 黒鳥の舞姫となる波濤かな
原句 小鳥来るバッハの音色部屋に満つ
この語順では、季語の小鳥来るより、部屋に満つが強くなっています。語順を変えると季語が強調されます。
参考例 部屋に満つバッハの音色小鳥来る