鬼を狩る子孫 第二話 影を落とす契約書(12)
影を運ぶトラック
夕闇が濃くなり、工事現場の周囲は街灯に照らされて白く浮かび上がっていた。
フェンスの外側の草むらに身を潜めるのは、悠夜、蓮、大地の三人だ。
「なあ……蚊に刺されすぎて、もう帰りたい」
蓮が首筋をかきむしりながら小声でぼやく。
「我慢しろよ。探偵ごっこだって言ったのは蓮だろ」
悠夜が冷ややかに返すと、
「そ、そうだけどさ……俺はもっと映画みたいなカッコいい張り込みを想像してたんだよ」
蓮は口をとがらせた。
そのやり取りに、大地が笑いをこらえきれず、思わず草を踏んでガサッと音を立てる。
「しーっ!」と悠夜が両方をにらんだ、そのとき。
フェンスの奥でライトが点いた。

一台のトラックが資材置き場の前に止まり、作業員が何かを運び出している。
三人は息をひそめた。
作業員たちは資材に見えない箱を次々と積み込んでいく。中身はわからないが、扱いが妙に慎重だ。
「見ろよ、あれ。普通の資材じゃないだろ」
大地がささやくと、
「うん……父さんの現場でもあんな積み方は見たことない」
やがてトラックは荷を積み終えると、エンジン音を響かせて去っていった。
残された資材置き場には、乱雑に閉じられた扉がひとつ。
「チャンスだ」
悠夜が目を光らせる。
「中を確かめよう」
「お、おい……本気か?」
蓮の声は小さく震えていた。
三人の視線が夜の資材置き場に吸い寄せられていく。
その影の奥に、彼らが想像もしていない「何か」が潜んでいるような気配がした。


