鬼を狩る子孫 第二話 影を落とす契約書(11)

揺れる証拠
放課後のファストフード店。窓の外では部活帰りの生徒たちが笑いながら歩いている。
トレイの上にはポテトと紙コップ。だが三人の視線は、悠夜のスマホに釘付けだった。

「これが……さっき撮ったやつか」

蓮が指先でスクロールし、フェンス越しに撮影された鉄骨や資材の写真を眺める。

「なんか、普通に見えるけどな。違反とか言われても、俺らじゃ分かんねえ」
「だから、写したんだよ」

悠夜はポテトをつまみながら言った。

「後で、大人に見せればいい」

創作小説の挿絵

「ちょっと待て」

大地が真剣な声を出す。

「大人って誰にだよ。先生か? それとも警察か?」
「……それはまだ決めてないけど」

悠夜が言いよどむ。

「そういうの、軽々しく持ち出すなよ」

大地は唇をかみしめる。

「もし間違ってたら、父さんたちの仕事まで疑われる。冗談じゃ済まない」
「……確かにな」

蓮がうなずいた。

「それにさ、証拠って呼ぶには弱いよな。写真だけじゃ、“ただの資材” で片づけられるかも」
「でも、ここから始めなきゃ進まない」

悠夜が小さく返す。

「俺たちが見たものを、俺たちだけで抱え込む方が危険だと思う」

しばし沈黙が落ちた。店内に流れる音楽だけが耳に残る。

「……分かった」

大地が深く息をついた。

「けど、誰かに渡す前に、もう少し突き止めよう。俺の父さんの耳に入る前に、確実な “何か” を押さえたい」
「確実な何か、ね……」

蓮が首をひねり、笑った。

「探偵ドラマじゃあるまいし、そんな簡単に出てくるか?」
「出すんだよ」

悠夜が真剣な眼差しで答えた。

「俺たちで」

三人の視線が交わる。
テーブルの上のスマホは、沈黙のまま次の一手を待っていた。