俳句的生活(318)-連句(8)-

発句を「春」とした二回目の連句を行いました。四日掛かっていますので、一日平均で九句進んだことになります。それだけの時間が掛かっているのは、途中に買い物その他でラインから離れることがあるからで、スマホやタブレットが手元にあるときは、せいぜい10分かそこらで1句進んでいます。対面での連句で歌仙を巻くときは、5,6時間かかっているようなので、それと比べれば楽なやり方であるといえます。途中チャット的にラインでコメントを入れたりしていますので、やりづらさということは一切ありません。

連句(8)    令和7年 1/23(木)〜1/26(日)   

連衆       二宮  紀子  典子  游々子

   

(発句)     くる春を誰と楽しむ梅枝や     二宮

(脇句)     鳥語人語の天神の杜        紀子

(第三句)    受験子の母はお百度参りして    典子

(第四句)    本郷に出る切通しの坂       游々子

(第五句)    琵琶湖波兎の走る月の影      二宮

(第六句)    口縄坂の作之助の碑        紀子

(第七句)    秋暑しライスカレーの匂ひ立つ   典子

(第八句)    ストレイシープの浮かぶ青空    游々子

(第九句)    軒端梅和泉式部の慈しむ      二宮

(第十句)    十二単の衣擦れの音        典子

(第十一句)   黒髪をポニーテールにして闊歩   紀子

(第十二句)   枝垂るる藤の色良く長く      游々子

(第十三句)   月涼しまほらの塔の水鏡      紀子

(第十四句)   汗拭きながら足湯に浸かる     典子

(第十五句)   天翔ける翁の白鳥歌舞伎座に    游々子

(第十六句)   夜空眺めて十文字指す       二宮

(第十七句)   散る花を追うて万朶の花吹雪    紀子

(第十八句)   お遍路宿は老いも若きも      典子

(第十九句)   蓬生を舞ふ六世や弥陀の春     游々子

(第二十句)   文字摺石を訪ね陸奥        紀子

(第二十一句)  書道塾墨の匂いと字の下手さ    二宮

(第二十二句)  囲碁の井山の左手の妙手      游々子

(第二十三句)  語り部のお国訛りの冬座敷     典子

(第二十四句)  鍋物囲む今を噛みしめる      二宮

(第二十五句)  杞の国の天崩れんかこの世紀    游々子

(第二十六句)  言ひ訳多いメールを閉じて     典子

(第二十七句)  恋心女心はミステリアス      紀子

(第二十八句)  天網は疎だしかし漏らさず     二宮

(第二十九句)  包頭の寺院に高く後の月      游々子

(第三十句)   大志抱きて水澄む国へ       紀子

(第三十一句)  七草を「おきなはすくふ」との覚え 二宮

(第三十二句)  村を見守る大黒様よ        典子

(第三十三句)  お祭りの運営維持の苦労聞く    二宮

(第三十四句)  杖の歩軽く結願近し        紀子

(第三十五句)  船頭の笠にひとひら花筏      典子

(挙句)     関を挟みてライン爽快       游々子

回を重ねるにつれて、付かず離れずの呼吸が少しずつ会得出来てきたのかな、と思います。

発句から第四句までは、梅に始まり天神社、受験、湯島・本郷 と続いています。二十八句から三十句は中国の故事から内モンゴルの寺院、そして大望を成し遂げた豊昇龍へと展開しています。三十四句の「結願」は十八句で四国八十八巡りが詠まれているので、その結願が間近ということと、挙句に近づいていることを掛けた句になっています。その挙句の担当は今回は私で、関西と関東に分かれてのラインによる連句が爽快であったことを詠んだのですが、前句が川を詠んでいるのでライン川に見立てることも出来るのでは、とのコメントもありました。

途中何か所か、ググってみないと理解できないところもありましたが、知見を深めることが出来て、大変楽しい巻となりました。

こんな方法で連句(俳諧)を楽しめるようになったことに、芭蕉さんも驚いているに違いありません。