俳句的生活(316)-連句(7)-

新年を発句とする二回目の連句を行いました。一回ごとに参考とする本の読み進みが深まり、順番などは、どの連句の句座でも問題になっていることが分かり、この会での順番もまあまあのものかと思っています。

連句の会(7) 月日: 令和7年1月13日(月)~17日(金)

連衆: 游々子、二宮、典子、紀子

(発句)    遺跡野の暁闇開き初明り         紀子

(脇句)    野守の鳴らす鹿の角笛          游々子

(第三句)   雪柳小手毬の花白くして         二宮

(第四句)   春風の中漕ぎし自転車          典子

(第五句)   日章旗靡く濠端月朧           紀子

(第六句)   天気晴朗沖行く白帆           游々子

(第七句)   クルーズ船月のみ光る海の原       二宮

(第八句)   君に貰ひし富士のペナント        典子

(第九句)   満天の星を眺めし二人の夜        紀子

(第十句)   琵琶湖ボートで天の川見る        二宮

(第十一句)  宋人に新酒振る舞ふ越前守        游々子

(第十二句)  新橋芸者の三味線の音          典子

(第十三句)  ラバウルの月の絵添えて送る文      游々子

(第十四句)  葉書に乗りて思い飛びゆく        二宮

(第十五句)  秋うらら正倉院の御宝鏡         典子

(第十六句)  ステンドグラスより日の光        紀子

(第十七句)  幾日を待てと御室の遅桜         游々子    

(第十八句)  兼好法師むかし見ししか         二宮

(第十九句)  得度式終へし少年風光る         典子

(第二十句)  入唐(にっとう)をする安倍仲麻呂     游々子

(第二十一句) 大橋を渡りその先祖母の家        紀子

(第二十二句) 孫と揃ひの白きブラウス         典子

(第二十三句) 緑葉の雑煮いただき願いあり       二宮

(第二十四句) まだ眠る霊山靄の中           紀子

(第二十五句) 嗚咽せりラストシーンの映画館      典子

(第二十六句) 人恋姿惑は不明(みょう)        二宮

(第二十七句) 下鴨の連理の枝の黄昏るる        游々子

(第二十八句) 極楽の鳥天空を舞ひ           紀子

(第二十九句) 月明の寄り添ふ夜の観覧車        典子

(第三十句)  星の王子の挿絵ある本          游々子

(第三十一句) ロマン抱き一人夜長の灯に更かす     紀子

(第三十二句) LEDひかり明るく照らす         二宮

(第三十三句) 復興の阪神淡路ルミナリエ        紀子

(第三十四句) ゴンドラ舟に流る歌声          游々子

(第三十五句) 夙川の流れ花びら典雅なり        二宮

 (挙句)    囀り満つる洋館の庭           典子


連句では、前句や前々句に対して関連性を持ちつつ、新しいところに展開していくのが妙味であるのですが、今回の歌仙では、阪神大震災の慰霊の日に歌仙の最終日が重なり、三十三句以降は神戸・西宮に収斂することになりました。どこで1月17日を迎えたかは各人異なっていましたが、あの日のことは忘れるものではありません。