俳句的生活(308)-連句の会(3)-
前回と前々回の連句は自由連句というもので、何の規則(式目)も入れずに実施したのですが、今回は発句が冬の句であったときに、それ以降の長句の季節をどうするかということと、花と月を入れる処を決め、この二つの式目で実施してみました。
連句の会(3) 12月2日(月)~12月5日(木)
連衆 (二宮 典子 游々子 紀子)
(発句) 師走来てジングルベルの花赤し 二宮
(脇) 永遠に燃え立つ私の心 游々子
(第三句) 玉霰降つてしじまの破られて 典子
(第四句) 景の一変せし鳰の湖 紀子
(第五句) 「湖の辺にして」や四夜の虚子の月 游々子
(第六句) 新酒の便り届くこの頃 典子
(第七句) 陵の白亜の塔に小鳥来る 紀子
(第八句) 鳥語不明も湖を見つめる 二宮
(第九句) 夕暮の友と訪る城下町 典子
(第十句) ルミ子懐かし瀬戸の花嫁 紀子
(第十一句) 島ごとに潮雲村のものがたり 二宮
(第十二句) 産湯に混じる浜の真砂や 游々子
(第十三句) 花束を抱き退職月涼し 紀子
(第十四句) 航跡長くうなじに西陽 二宮
(第十五句) 黄金の出雲の湖や二人旅 游々子
(第十六句) 背筋も凍る怪談話 典子
(第十七句) 一つ咲く黄水仙揺れ水面影 二宮
(第十八句) ワーズワースのダッファディルかな 游々子
(第十九句) 図書館の洋書の匂ひ春埃 典子
(第二十句) ショパンのピアノ曲流れくる 紀子
(第二十一句)今出川通りの老舗喫茶店 游々子
(第二十二句)就職決まると風の便り 典子
(第二十三句)水音は太古の調べ冬の滝 紀子
(第二十四句 大地の動き目にも見せるか 二宮
(第二十五句)想ひ出の輪島朝市夫婦箸 典子
(第二十六句)雷鳥の旅遥か昔に 紀子
(第二十七句)山姥の飛ぶ空をたつ善光寺 二宮
(第二十八句)鼓の響く夜更けの庵よ 游々子
(第二十九句)稜線を暗め山湖の月明かり 紀子
(第三十句) 松茸におう火を囲みつつ 二宮
(第三十一句)菊の香や庫裡より出でし碧眼僧 游々子
(第三十二句)インバウンドの日本列島 典子
(第三十三句)波風の音静かなり古社 二宮
(第三十四句)南都の鐘に和する鶯 游々子
(第三十五句)合格のお礼参りや梅日和 典子
(挙句) 鐘鳴り響く母校のチャペル 紀子
参加した人からは、多少なりとも式目を決めて実施した今回が一番楽しかった、という感想がありました。
第五句についての説明ですが、「湖の辺にして」とは未央主宰の古賀しぐれ先生の第三句集の書名で、虚子の浮御堂沖にある湖中句碑の「湖もこの辺にして鳥渡る」より付けられたものです。最近この句集をしぐれ先生よりサイン入りで頂いたので、それを使ってみました。

また、虚子の四夜の月とは、明治37年、虚子30歳の時に京都の中で四夜に渉って月を愛でたことを引いたものです(こちらより)。