写真で見るプレバト俳句添削(23)-6月16日(2)ー
今日の後半の出場者は、キスマイ横尾、東国原英夫、梅沢富美男の3人です。横尾さんは、名人10段に王手を掛けた状態が続いています。
原句 夕虹のA席タイムラプスの街 キスマイ横尾

タイムラプスとは、早送りのような動画を撮影する方法のことです。
横尾さん: 割引券を航空券に発想を飛ばしました。空を飛んでいる時に見える窓からの景色が、タイムラプスで撮影した映像のように見えるのではないかと。
浜田さん: 1ランク昇格! 先生から、”こだわりの一言”
夏井さん: 「A席」がどうかというのは、必ず出てきますね。飛行機に乗っているのなら、「機窓」という言葉がありますね。あえて「A席」にしているのは何でだろう? と一応それはちゃんと考えてあげるのが読み手の誠意というものです。タイムラプスは色んな動き方ありますが、そこらを想像させて、最後に「いろんな街の夕虹をみせよう」と企んだに違いない、そういう分析はできます。
浜田さん: 企んだのですか?
横尾さん: 企みました、それは、勿論です!
游々子: 「A席」だけだと、何のA席なのか判りませんが、夕虹があることで、夕虹の見える乗り物の窓側の席であることが、想像できます。タイムラプスで、窓外の景色が動いていることが理解できます。想像しないと理解できない、これも俳句の妙であると言えます。横尾さんは、6人目の名人10段となりました。
原句 帰省してゐる周遊のついでかな 東国原英夫

東国原さん: 学生時代、僕、帰省にあまり興味なかったんですよ。周遊券買って、ついでに帰っていたんです。俳句は、”ゐる” を付けて、帰省していることを強調してみました。
梅沢さん: 私は俳句を作って、”かな” はほぼボツでしたね。それでこれだったら、”かな” を付けずに、”ついで” で終わって良いのではないかと思います。
浜田さん: 掲載決定!
梅沢さん: 可愛がられている! 可愛がられている!
浜田さん: 先生からは、「私ならこう書かないけど」と来ています。
梅沢さん: ほら!
東国原さん: 先生は公正なジャッジをされてます!
夏井さん: ”ゐる” という言葉をわざわざ入れている。それは、”ついで” と意味の上で響かせようとしている。私だったら、”かな” で詠嘆しないで、”帰省” を嫌がるような書き方をします。例えば、「帰省なぞしてゐる周遊のついで」。”かな” というのは、作者の表現意図に関わってくるもの。添削として、”かな”を外して、”なぞ” を入れるようなことは言えない。これは創作の範囲の ”かな” で、許容しないといけない範囲のものです。オッチャンに一言いわせてもらうと、オッチャンが ”かな” を使って私がボツにした
お歯黒のかすかにのぞく雛かな
縦横に斜めの子らの昼寝かな
留守の間をルンバ操る仔猫かな
道中を終えて禿かな
は、明らかに間違っている。そういうことです。
梅沢さん: まあ、私は嫌われているから、、どうせボツでしょう。
游々子: ”かな” で詠嘆するものは、その句の中で最も重要視するものでなければいけません。ボツとなった梅沢さんの昼寝の句も、昼寝を詠嘆しているからダメなのであって、昼寝の前の上五中七が、昼寝を叙述しているだけのものになっているからです。この句で詠嘆するのは、昼寝ではなく、子供でなければなりません。例えば、「川の字とならぬ昼寝の子供かな」。東国原さんのこの句は、”ついで” が最も重要なものでありますから、それを ”かな” で詠嘆するのは、合っているのです。
原句 赤札のプードルを抱く帰路夕焼 梅沢富美男

梅沢さん: ワンチャンが大きくなると、値段が下がるんですね。かわいそうだな、と思ってプードルを抱いて家に帰った。赤札をクーポンと思っていただければ。私は家で保護犬を育てています。
横尾さん: 最近、ワンちゃんのことよく書くな、というイメージがあります。
東国原さん: イメージを良くしようとしている?
梅沢さん: そういうつもりで私は俳句やってませんから。私は、自分の大事なものを俳句にしているだけです。
浜田さん: 掲載決定!
夏井さん: 赤札のプードルって、これで言いたい場面をちゃんと言えているのは、やっぱり見事ですね。特価品の札を、生き物であるプードルに付けている、意外性もあるし悲哀。えって思う気持ちもここでちゃんと書けています。更に褒めないといけないのは、後半の着地。”帰路夕焼” とここで、場所と行動、人物が出てきますね。そして、夕焼という夏の季語が、ずーっと広がっていく、夕焼が明るいものでなく、悲哀。一緒に帰ろうねと、それは分かります。そして最後、季語「夕焼」の赤と、「赤札」のあか、種類の違う赤が、一句のなかで、それぞれの存在感を灯す。ちゃんと狙って考えている、流石です。
梅沢さん:先生! 先ほどは失礼なことを申し上げました。東さんの「かな」は本当に良い「かな」。
浜田さん: いやらしいな、もう!
游々子: この句は、梅沢さんの50句の句集が出来た時の、最秀逸句となるのではないでしょうか。歳時記にも、夕焼の例句として掲載できるレベルのものと思います。


