写真で見るプレバト俳句添削(22)-6月16日(1)ー

今回のお題は、クーポン券です。前半の出場者は、高島礼子、音月桂、ミキ亜生、本高克樹の4人です。

原句 嵩を増し藻の花飾る井戸の水  高島礼子 凡人2位 67点

藻の花

高島さん: クーポンが増えると財布に詰まってくる。使うときには財布から全部だして、広げて整理しないといけない、それがちょっと藻の中に咲く飾りをイメージした。

梅沢さん: クーポンとの関係が分からない。

夏井さん: 兼題の写真から、どういう流れで藻の花に結びついたのか辿れなくて、今話を聞いていると、”嵩を増す”からイメージを膨らませていったということですね。この句自体は悪くはないです。なんで3点減らしたかというと、嵩を増しているのが、井戸水なのか藻の花が増えて嵩を増しているのか、そこがこの語順だと分かりにくい。

添削 嵩を増す井戸水藻の花の白し

夏井さん: 井戸水でカットを切り、”白し” で一輪にズームアップさせる! ここまで徹底して描写しようとしているのは、とても良いことです。凡人だからって諦めずに、次狙いましょう。

高島さん: (腕を振りながら)ありがとうございます!

游々子: ”飾る” というぼんやりした言葉を使ったのが、惜しかったです。夏井さんの句は、中句の途中でカットを切り替えるので、破調句になりやすいのですが、この句の場合は、”花” の ”は” と ”な” が中七と下五に分離するだけなので、それほど破調の違和感は生じないものに出来上がっています。


原句 白南風や郷里へ急ぐ乗車券  音月桂 凡人3位 60点

改札

音月さんは、元宝塚雪組のトップスターです。口上では、宝塚らしく、”清く正しく美しく” 作ってきたということです。

音月さん: 当時15歳で親元を離れて行ったので、すごく寂しくてホームシックになって、初めての夏休みに、「やっと家族に会える」「新幹線に乗ったら実家に帰れる」と思った時の、”はやる気持ち” を詠みました。

横尾さん: 判り易い句。「乗車券」を変えたら、もっと面白くなるのかなあ。
梅沢さん: これ普通の句なんですよ、乗車券買って郷里に帰りました、という、、

夏井さん: 言いたいことはちゃんと伝わります。ところがオッチャンが言っている通りで、郷里を思っているどの日本人にも全員に当てはまる、でも今あなたの話を聞いていて、音楽学校に行っていた、そういうことをちゃんと書く方が絶対良いんですよ!

添削 郷里へ音楽学校夏休み

夏井さん: これだと音楽学校に行ってない人には、当てはまらないですよね。これやらないと、60点から上には上がれないです。

音月さん: 今回歳時記を、分厚いのを買って、、
梅沢さん: その歳時記が悪かった、夏井先生のを買えば良かった!
音月さん: はい、買います!

游々子: この添削、愛想が無さすぎます。”初帰省” という 効率のよい言葉があって、初めての夏休みに郷里へ帰る、という意味を持ちます。余った字数で、わくわくした気持ちを表現すべきです。私なら、「白雲や宝塚より初帰省」といたします。


原句 夏休み余ったお金で氷菓子  ミキ亜生 才能なし最下位 35点

氷菓子

梅沢さん: バカヤロー
東国原さん: これは俳句ではなく、報告、、

夏井さん: 夏休みと氷菓子、この季重なり、わざとやったのか、この子は! ポカンとしました、何も学んでなかったのかと。

添削 クーポンや浮いたお金で買うアイス

游々子: 初めて俳句を作る人は、こうした句が多いので、これほどボロ糞にいうことはありません。もしこの人の俳句歴が1年以上あるとしたら、本当に才能なしなので、その場合は、この番組への出場は無くした方が、視聴者の為になります。


原句 虫食いのクーポン埋める梅雨の星  本高克樹 才能あり1位 70点

クーポン

本高さんは、7MEN侍のメンバーで、現役の早稲田大学大学院生です。

本高さん: クーポン、よく使ってたのだけど、使っていくうちに、好きなものから使っていくので、穴が空いてくるんですよ。悲しいなと思ってクーポン眺めていたら、隙間から梅雨の星が見えて、そこのクーポンはなくなったけど、明るい気持ちになった、という句です。

横尾さん: ”虫食いのクーポン” という言葉が素敵ですね。

夏井さん: ”虫食いのクーポン” と、”梅雨の星” を取り合わせた、その取り合わせ感覚の良い句ですね。しかしあなたがおっしゃったように、クーポンの隙間から梅雨の星を見るようなことは、しねぇーだろうと、

浜田さん: 口悪いなもうー

夏井さん: だから、そのような解説は記さない方が、この句は得なんだろうな、と。

添削 虫食いのクーポン梅雨の星ふえて

夏井さん: ”梅雨の星がふえてきたな” という気持ちと、”虫食いのクーポン”を対比させる、こういうのが俳句なのです。

本高さん: 広がりがでて、すごく勉強になります。

游々子: この添削句も、中句でカットが切り替わっていますが、五七五のリズムは保てているので、良い添削です。また、原句の ”埋める” は理屈っぽい説明になっていますので、削除して、添削のように純粋に対比させるのが好ましいとするのは、大賛成です。