写真で見るプレバト俳句添削(9)ー4月21日ー

春光戦その他が終わって、また通常の形式に戻りました。今回のお題は「美容院」です。

美容院

原句 春セーター息を潜めて白髪染め  大久保佳代子 凡人2位 55点

梅沢さん: 中七が説明
村上さん: 春セーターを擬人化しているが、それはちょっと、、

夏井さん: 二人の解説が全て。息を潜めるのは人かと思った。春セーターと白髪染めの取り合わせは良い。

添削 白髪染めクロスの下の春セーター

白髪染め

私は、美容院での経験を持っていませんが、原句の命は、表現はどうであれ、中七の、”息を潜めて”  にあると思います。添削は、その気分を消失していて、原句よりも平板なものとなっています。原因は、春セーターに固執しているからです。息を潜めるのは、勿論人です。私なら、「息潜む春の麗や白髪染め」と致します。


原句 けふ母に梳かし洗うは春の虹  藤本隆宏 才能無し最下位 30点

夏井さん: 色々勉強して、色々工夫しているが、それがゴチャゴチャになっている。

添削 けふ母の髪を洗はん春の虹

”髪を洗う” は 夏の季語であるが、1年中やっていることでもあるので、問題ないとのことです。

私は、上五の ”今日” が詰まらない挿入だと思います。私なら、「百歳の母の細髪虹立てり」と致します。


原句 初虹や隣で見てた夢の道  キスマイ二階堂 才能無し 3位 35点

夏井さん: 季語+12文字 という型を覚えたのは褒めたいが、その12文字がダサイ。

添削 美容師の夢を見守り春の虹

何年もプレバトのメンバーでいながら、こんな型で褒められるとは、呆れてしまいます。美容師を修行時代から知っているということで、句を造ったということですが、添削しても良句にならないのは、元々の着想が詰まらないからだと思います。


原句 菜の花を切って美容院に電話  犬山紙子 才能あり 1位 72点

またまた破調の句が、1位となりました。

夏井さん: 展開が軽やか。菜の花を切りながら、そろそろ美容院に行こうかと思っていることが想像できる。こういう句は嬉しい。直しなしで特待生へ!

五七五にすると、こんなものでしょうか。「菜の花を切りて電話や美容院」


原句 付け睫毛のやや剝がれたる春更けし  ミッツマングローブ 名人2段

菜の花

ここからが、特待生昇格試験です。この句は、時間軸がバラバラということで、現状維持でした。

夏井さん: ”春更けし” は、映像を持たない時候の季語であるので、付け睫毛をしっかり見せる方が得。

添削 春更くや剥がれかけたる付け睫毛

付け睫毛

この添削はgoodです。原句の、上五中七が悪すぎます。


原句 春の色絵本の並ぶ美容院  フルーツポンチ村上 名人10段

絵本

村上さん: 人を描かずに明るさを描いた。

夏井さん: うまい! 中七下五good! こういう句は、村上さんの右に出るものは居ない。”春の色” は、”春光” の傍題であるが、”春光や” とすると強くなりすぎて、バランスが崩れる。”春景色” だと大きくなりすぎる。ここは、”春の色” でしかない、ということで、ひとつ前進 となりました。永世名人へ王手です。

”春の色” は 季語として優れものです。”春の色” がマッチする場面は、幾らでもありますので、十句ぐらい、作り置きしておこうかと思います。


原句 髭あたる泡の甘やか目借り時  梅沢冨美男 永世名人

夏井さん: そつがない。掲載決定。”髭をあたる” の語源として、夏井さんによれば、元々は、”髭を剃る” だが、江戸っ子は ”そる” の発音が苦手で、”する” となり、それだと験が悪いので、逆の ”あたる” となったそうです。”あ”音が三つ使われている、との指摘もありました。

私は中七が気になりました。この句は、シャボンの泡の甘さを詠んだものですから、そのままに、「髭あたる泡の甘さや目借り時」でよいのではないかと思いました。

句集発行まで、あと8句となりました。