添削(30)-Y.Oさん しおさい会(8月)ー

原句 夕立や我も我もと軒の下 

景色の見える良い句です。この句の肝は、中句の、”我も我も” にありますから、それを先頭にもってきた方が、インパクトがあります。

参考例 我も我も軒へと走る夕立かな


原句 仏壇に友の形見のサングラス

これも着想の良い句です。中七に、”の” が2回出て来て、緩んだ感じがありますので、この句の中心である形見を、”や” で切ってみると締まります。

参考例 仏壇に形見や友のサングラス


原句 浴衣着て石段上る白い脚

この句は、浴衣を着た女性が石段を上るとき、裾から白い脚が見えた、という光景を詠んだものですが、”着る” と ”上る” という動詞を二つ使っているために、説明的な句になっています。動詞をカットして、代わりに、”裾” を入れてみます。この句の肝は、エロス的な雰囲気を詠もうとしているのですから、石段を上ることで白い脚が見える、と説明的なことをいうのではなく、情景を読者に想像させるようにするのが、得策です。

参考例 山寺や浴衣の裾の白い脚