添削(20)ーY.Mさん しおさい会(5月)ー

原句 虹の橋草木の滴耀けり

雨のあと、空には虹、草木には滴が宿っている、という素直な良い句です。が、雨のあとに、草木に滴が宿ること、それが輝くことは、当たり前のことであって、読み手に感動を与えません。平凡にならない様、景を大きくするなど、何か工夫が必要です。

参考例 虹の橋長き裾野の滴れり


原句 午後三時ほんのり香るかしわ餅

午後のティータイムに、かしわ餅が出てきたという情景の良い句です。が、かしわ餅が香るのは当たり前で、直截的に ”香る” と表現するのでは、詩情が出て来ません。別の表現をして、いかにも香っているように思わせるのが、俳句たるものです。

参考例 午後三時紅茶に添えるかしわ餅


原句 園児らの握られし手にこいのぼり

中七が受け身の過去形になっています。詠もうとしているのは、ミニの鯉のぼりを持つ園児の手でしょうから、手の様相を深掘りするのが良いです。

参考例 鯉のぼりギュギュっと握る園児の手