京大俳句会(13)-第176回(令和5年10月)-

京大俳句会は「京大三高俳句会」をルーツとするものです。京大三高俳句会の発起大会は、大正9年2月23日に、虚子も招待されて、京大の学生集会所で行われました。会創設の中心になったのは、当時三高生であった日野草城でしたが、彼はこの日の大会の様子を、次のようにホトトギスに寄稿しています。

ホトトギス大正9年4月号
ホトトギス大正9年4月号

虚子は三高在学中の2年間に下宿を5回代えていて、聖護院の下宿は2回目のもので、京大の学生集会所からは近くの処にありました。草城は、京大三高俳句会を設立して1年後、京都帝国大学法学部に進学し、ホトトギスへの投句では、雑詠欄の巻頭を飾るまでになっていました。

日野草城の巻頭句
ホトトギス大正10年4月号

第176回京大俳句会作品集
兼題 :「新米」及び傍題
1  秋深き時空に迷ひ真如堂          つよし

2  一合の桝の新米けふの糧           游々子

3  色褪せし花に名残りの秋の蝶          遥香

4  ウクライナ飛び交う砲火夜の寒さ        のんき

5  雁渡る雲のほころび縫ふごとし         蒼草

6  客僧が新米もらう棚田村           二宮

7  十月や時空の広さ戻りけり            游々子

8  正門を色なき風と吹かれおり            吟

9  新丁稚怒鳴られ待ちし薮入り日          二宮

10  新米が舌に転がる秋津洲             楽蜂

11  新米の香りほのかに過疎の村           蘭麿

12  新米を満腹笑顔飢餓のガザ            のんき

13  新米来津波の記憶湯気に乗せ           蒼草

14  恙無き一日を重ね今年米             遥香

15  熱殺の蜂玉に見るプーチンの誤算         楽蜂

16  ぱらぱらと新米卓を撥ね踊る           つよし

17  保津川と嵐山分け曼殊沙華            蘭麿

18  湯気あつく香もつややかに今年米          吟