俳句的生活(220)ー5月の京都旅行ー

さる5月14日、大学のクラス会が南禅寺門前の「八千代」という料亭で行われました。南禅寺の参道には、湯豆腐の店が多く並んでいますが、八千代でのランチ料理のメインは、ご多分に漏れず湯豆腐でした。

八千代

このクラス会は、理学部の1,2回生のときに第2外国語としてフランス語を選択したクラスの集まりで、参加者には研究者になったものが多く、ここぞとばかり、話題は自然とそちらに傾いていきます。幹事さんが会の終了後に送って来たメールには、”八千代の中居さんも、みなさんまだ勉強の話ばかりですね、すごいですね、と感心されました。” と書かれていました。

翌15日、本来ならば葵祭だったのですが、雨が予想された為、16日に順延されることになりました。学生のとき、下鴨に下宿していたので葵祭は何度も見ているのですが、就職してからはそれがなかったので、見物することにしていました。幸い帰りの切符を16日午後にしていたので、可能になり、15日は望外に1日空いたので、”京都観光” をしてみることにしました。

15日午前は、銀閣寺に行ったあと、銀閣寺畔に作られている「橋本関雪記念館」に行ってみました。ここは関雪の自宅だったところで、大正の初めから30年をかけて、当時まだ水田であった銀閣寺畔の3000坪の土地に盛土をして、現在のような姿に作り上げたものです。

橋本関雪記念館

この美術館では、関雪の作品は自由に撮影が許されていて、私好みのいくつかの絵画を撮らせてもらいました。

絵画1
絵画2

美術館の2階のベランダには、東山が一望できるような場所が設けられていて、凄いものを個人で作ったものだと思いました。

東山遠望

春光を思いのままに東山  游々子

この日のランチは、京都大学時計台の中の「La Tour」というフレンチレストランで済ませました。La Tour というフランス語は、英語では The Tower となり、時計台の塔を意味しています。

京都大学時計台

楠若葉百周年の時計台  游々子

午後は三十三間堂へ行ってみました。ここは成人の日に、新成人の女性による弓競技が行われているところです。常々一度見物したいと思っているのですが、まだ実現できていません。

三十三間堂

通し矢の空を切り裂く寒九かな  游々子

夕刻5時には、京都に来たときはいつも寄っている先斗町の「ますだ」という ”おばんざい屋” に行ってきました。この店はカウンター席があり、ぶらりと立ち寄る店として敷居が高くなく、気楽に酒が飲める処です。先々代の女将のころ、司馬遼太郎や奈良本辰也たちが贔屓にしていた店で、今も「遼」の名で揮毫された額が二幅掛けられています。店主の家は下鴨だそうで、下鴨では少し雨がぱらつき、葵祭を1日延ばしたのは正解であったとのことでした。

翌16日は快晴の夏日。朝、東一条の吉田神社へ行き、そのあと出町柳の河合橋を渡ったところで、葵祭の路頭の儀の行列を待ちました。

光満つ中で待ちたり加茂祭  游々子

葵祭行列
斎王代

今年の斎王代は、京都府医師会会長の娘さんで、外資系企業に勤める才媛です。「ますだ」の店主の話では、コロナ禍で中止になる前に決まっていたそうです。

帰りの京都駅では、上皇ご夫妻が奈良へ近鉄線でいくのを見ようと、大勢の人が列を成していました。警備の警察官にその時刻を尋ねたところ、2,3時間あととのことでした。

今回の京都は、外国人観光客と修学旅行生で溢れかえっていて、久々に活気に満ちた京都を見ることが出来ました。コロナ禍以前よりも華やいでいた印象を受けました。