添削(25)ーT.Kさん しおさい会(6月)ー

原句 梅雨の婚幸多かれと夫婦箸

結婚式でのお祝いに、夫婦箸を贈ったという句ですが、中七の表現が散文的です。

参考例 梅雨に祝ぐ贈る言葉や夫婦箸


原句 縦横に直な線描く青田かな

広々とした青田は、確かに代(しろ)や農道で、縦横の長方形に区割りされています。しかしそのことを説明するのでは、読み手は、何か具体的なものを思い起こす必要があり、ストンと胸に落ちてくる快感を得ることが出来ません。縦横の直線という表現を使わず、同じことがイメージ出来るようにするのが、良い方法です。

参考例 区割りなる八郎潟の青田かな


原句 雨に名をつける国あり水の星

確かに日本は、古事記でも “水穂の国” と表されるほど、水の豊かな国で、雨にも、多くの名前が付けられています。しかし、そのことをそのまま詠むのでは、確かにそうだ、となるだけで、詩趣が発生しません。前句でもそうですが、映像を発生させて言いたいことを詠むようにすると、俳句的になってきます。

参考例 馬の背を分ける夕立は驟雨とも