添削(24)ーA.Iさん しおさい会(6月)ー
原句 梅雨晴れや人に上げたし手持傘
句意は、梅雨が晴れたので、今、手に持っている傘を人に上げて、身軽になりたい、という事でしょうが、”得” になることを詠むのは、俳句には向いていません。むしろ逆が合っていて、それには季語を変えるだけで実現します。同じ ”とく” でも、”徳” のほうです。
参考例 青梅雨や貸してあげよう折畳み
原句 吹晴や光ひしめき青田かな
”や” と ”かな” の切れ字が二つあります。句意は、風が吹いて、空気が入れ替わり、田も光に充ちている、ということですが、中七が散文的です。理科系的に、光を粒子と思って詠んでみては如何でしょうか。
参考例 光速の粒子飛び入る青田かな
原句 蛍狩夕風とまる処かな
夕風と蛍を組み合わせた句ですが、蛍狩をしている場所が、夕風の止まった処というのでは、詩になりません。逆に、夕風で蛍の光が流れていく、という内容にすれば、詩となります。
参考例 夕風に流る蛍の光の譜