俳句的生活(196)ー厚木の渡しー

1昨日、6月1日は、相模川の鮎釣り解禁日でした。太公望を眺められる相模川の土手をメインの場所とする吟行句会が、神奈川県俳句連盟と厚木市俳句協会の協賛で、実施されました(添付1)。私は、厚木の渡し跡がある方へ歩き、そこで次の2句を詠みました。

この辺で善しとしようか上り鮎
鮎飛ぶや縄張りの無き大堰を

厚木の渡しは、江戸時代に60余りあった相模川の渡しの一つで、矢倉沢往還道(現在の246)をもう一つの大山街道とする大山詣で賑わった渡しです。渡し跡には、厚木市教育委員会による説明板が建てられています(添付2)。この中で、天保年間に渡辺崋山が、この地を訪れたことが記されています。彼は厚木を、「厚木の盛なる、都と異ならず」と評して、地元の人の求めに応じて、厚木六勝という、6枚の絵を遺しています。近年その原画が、アメリカのハーバード美術館で見つかり、レプリカが厚木市で公開されました。六勝の風景とは、

雨降晴雪(うこうせいせつ)
仮屋喚渡(かりやかんと)
相河清流(そうがせいりゅう)
菅廟驟雨(かんぴょうしゅうう)
熊林暁鴉(ゆうりんぎょうあ)
桐堤賞月(どうていしょうげつ)

というものです(添付3)。何となく「茅ヶ崎八景」と名称が似ています。このうち、仮屋喚渡の図が、渡し跡の説明板に描かれています(添付4)。

相模川に帆掛け船が運航されていたことは、以前このブログでも紹介していますが、あゆみ橋という橋の処に、帆掛け船のレリーフが彫られた記念碑がありました(添付5)。あゆみ橋は、以前は「じょう橋」と呼ばれていたそうです(添付6)。

吟行句会の選句と披講は、小田急本厚木駅の近くの、アミューあつぎ7階にある、amyuスタジオというところに戻って行われました。私の、”上り鮎” の句は、神奈川県俳句連盟会長の特選句に選ばれて、特別賞を頂きました。鮎を擬人化して、人生に掛けたのが評価されたのでしょう。

この辺で善しとしようか上り鮎

添付1: 相模川、鮎釣り解禁日の様子
添付2: 厚木の渡し
添付3: 江戸時代の厚木宿大山道の見取り図
(4travel.jpより)
添付4: 仮屋喚渡の図
添付5: あゆみ橋の碑(帆掛け船のレリーフ)
添付6: じょう橋の説明碑