写真で見るプレバト俳句添削(10)-4月28日(1)ー

名人3人のものは次回に廻し、本稿では、査定ランキングの4人のものを取り上げます。お題は、ゴールデンウイークです。

原句 尾を張って猫も眺める鯉のぼり  中川翔子 才能無し3位 35点

こいのぼり

中川さん: 猫は気持ちが良いとき、尻尾をぴんと立てる。鯉のぼりも、風が吹くと尾が伸びる。青空をイメージ出来たらいいな、と作りました。

横尾さん: ”尾を張って” だと、それが猫か鯉のぼりか判らない。素直に、”尾を立てて” とした方が良いのでは。

夏井さん: 猫が、魚の形をした鯉のぼりを物欲しそうに見てるという句は、掃いて捨てても湧いてくるほど沢山あります。”眺める” の四字を鯉のぼりの描写に廻すのが良いです。

添削例 尾を立てる猫よ鯉のぼりは風に

またもや破調の句です。助詞”に” が使われているのと、鯉のぼりと風の組み合わせは陳腐なので、この添削は、今ひとつと思います。私なら、先ず句の構造を、「尾を立てる猫や〇〇〇の鯉のぼり」と五七五にしておいて、〇〇〇に入れる三音を考えます。「尾を立てる猫や九尺の五月鯉」「尾を立てる猫や露台の鯉のぼり」。


原句 抱きしめた子の髪ふわり菖蒲の香  高橋真麻 凡人2位 55点

菖蒲

添削例 抱きしめる子に菖蒲湯の香のほのか

この添削は良く出来ていると思います。原句は中七がまずく、これを除いて他の言葉で置き換えたのが成功しています。下五では韻を踏んでいて、うまいものです。才能ありにもう少しとのことでした。


原句 飛び石の蛙声静まる靴の音  勝村政信 最下位 25点

梅沢さん: この句は、芭蕉の、”古池” の句のパクリだ。永久追放!

夏井さん: お前だったのか! 本歌取りはありだが、こんな詰まらない句を造っていると、芭蕉が化けて出る。普通に書けば言いたいことは言える。

添削例 飛び石をゆけば蛙の声やみぬ

こうやって整えたところで、凡人の句でしかない、とのことでした。その原因は内容にあって、こうした句は、読み手からは、”それがどうした” という攻撃を受けるからです。俳句というものは、読み手に、”いいなあ” とか、”なるほどなあ” といった感慨を与えるものでなければなりません。


原句 亀鳴くやお辞儀が深いグラウンド  ぼろ塾・田辺 才能あり 1位 70点

亀

田辺さん: 14歳のKAT-TUNの亀梨さんを見て、めちゃくちゃ一人、お辞儀が深かった。亀を使った季語を選び、春の夕暮れを表した。

夏井さん: 文体の統一をすれば、なお良いでしょう。

添削例 亀鳴くや一礼深きグラウンド

原句も内容があり、大変よい添削です。