俳句的生活(184)-力丸もなかー

俳句的生活(92)で、南郷力丸というブランド名の米焼酎を紹介しましたが、「もなか」にもなっていることを知り、「こしあん」と「つぶあん」を、一つずつ買ってきました(添付)。手がけているのは、南湖通りに店をかまえる御菓子処「やくも」という、大正8年創業の老舗菓子店です。女将さんの話では、南郷力丸が祀られている西雲寺が近いので、30年前から作り始めたとのことです。茅ヶ崎には、「奉行もなか」というのもありますから、名奉行と名怪盗(?)が揃っていることになります。

戦前、神奈川県には、「史跡めぐりの会」というのがあって、101回目の会が、昭和16年3月16日に、茅ヶ崎で挙行されています。案内人は鶴田栄太郎で、茅ヶ崎駅を出発点として東海道を西へ進み、西久保の宝生寺まで至っています。第六天神社では、太平記のなかの十間坂のことが話題となり、更に当時は、南郷力丸の生家がまだ残っていたのか、第六天社と道を距てての茅屋を見て、一行は ”アノ家アノ家” と騒いだと、児島李雨という人の書いた「茅ヶ崎めぐり」という紀行文に描かれています。

こうみてくると、「白浪五人男」の頭領である日本駄右衛門にはモデルとなった人物がいるということだし、南郷力丸も、あながち架空の人物ではなかったのではないかと思えてきます。大岡裁きは、多くの創作物がなされていますが、南郷力丸については、私は、河竹黙阿弥の、”さてどん尻に控えしは” の歌舞伎しか、知るものがありません。どなたか、池波正太郎さんのような筆致で、シリーズ物を書いてみると面白いと思うのですが、如何でしょうか。

人生はどん尻でよし春の空