添削(15)ーT.Sさん しおさい会(4月)ー

原句 踏青や姪が独居す母の里

この句の句意は、今自分(作者)は母の里を踏青しているが、そこには姪が独居している、ということですが、句は、母の里への思いと、姪の独居とが、独立した二本立てとなっています。それぞれを別のストーリー仕立てにして一句とした方が、詩となります。

参考例1 踏青や駅より続く母の里

参考例2 踏青や姪が独居の我が実家


原句 児等の道見守る老友や鳥帰る

先ず、中句が8音になっています。必然性のない限り、7音にするのが鉄則です。この句では語順を変えることで、簡単に解消します。「老友の見守る児等や鳥帰る」 この句の肝は、老人と子供の親密な関係ですから、それを帰る鳥を介して詠むと詩になります。

参考例 児等と肩を組む太き手や鳥帰る


原句 古座敷隣家の桜に杯重ね

この句も中句が8音になっています。

参考例1 隣家(となりや)の桜に杯を重ねけり

参考例2 我が家を圧す隣家(りんか)の桜かな