写真で見るプレバト俳句添削(3)-(3月10日) 春光戦Bブロック予選ー

お題は、ごはんorパン です。

原句 春昼やこんどの人はパンが好き  筒井真理子 補欠

カツサンド

こんどの人とは、こんど好きになった人のことです。夏井さんの評は、中七下五が素晴らしい、人生が見えてくる、ということでした。惜しいのは季語で、今度の人が、どういう人なのかが、ちょっとわかる季語を、歳時記をめくって考えてほしい、との評でした。

私が思いついたのは、”春スキー” という季語で、「春スキー今度の人はパンが好き」という句となり、スキー場のレストハウスで、彼が注文したのが、ラーメンでもカレーでもなくて、カツサンドであった、という情景となります。単に季節の季語でなく、中七下五に広がりを付ける季語のほうが良いという、貴重な指摘でした。


原句 春眠しパンで拭ったソース跡  パンサー向井 3位

猫の春眠

梅沢さんから、それがどうしたの、という指摘がありましたが、夏井さんの応答は、俳句とはそういうもので、些細な事に眼を向けて映像化すると、季語の力で詩となる、この句は、中七下五で映像がみえる、これでいい、というものでした。

季語については、前句同様に動くから、適切なものを自分で探せ、適切なものを見つければ、1位になる可能性だってある、という指摘でした。私は、”山笑う” でどうかと思いました。「山笑うパンで拭ったソース跡」。

俳句は常に、それがどうしたの、という批評を浴びるリスクを持っています。しかし、Aブロックで1位となった馬場さんの句は、わずか17音で、ここまで表現できるのかという感動があります。俳句はそうしたもの、と諦めてしまわず、”おっちゃん” のような疑問を持つことが大切だと、思っています。


原句 花追風(おいて)見知らぬ町の握りめし  中田喜子 最下位

握り飯

花追風は、花の香がほのかに伝わる様子をイメージさせる、中田さんオリジナルの季語です。最初に使ったのは、2019年5月2日、令和改元直後のプレバトで、その時の句は、「「とき」発車旅憂(うれ)わしき花追風」というもので、その時の夏井さんは、”見たことのない季語だったから、家にある古い歳時記から用例を探しましたが、やっぱりなかった。自分で季語を作るのは、たいした度胸ですよ! 本当にびっくり致しました” と大絶賛し、1ランク昇格しています。

今回の句は、中七が漠然としているとして、季語に寄せるか、テーマである2択のイメージを出すべき、という指摘で、添削は、

添削1 花追風吹いて三日の握りめし
添削2 花追風梅かこんぶか握りめし

というものでした。添削の主旨はその通りと思いますが、添削そのものには違和感があります。私なら、風に”吹く”は避けて、「花追風香る城址の握りめし」。また、選択については、酒飲みの一人として、”あて” を選択するものして、「花追風酒のあてなる干鰈」と致します。この場合、季語は干鰈に譲ることになりますが。


原句 公開録画当たった浅蜊開いた  藤モン 1位

浅蜊

この句は、公開録画の抽選に当たったという知らせが届いた時、アサリを煮ていて、その蓋が開いた、というものだそうです。日常にあるちょっとした幸せが表現されていて、梅沢さん、志らくさん、馬場さん全員が称賛していました。夏井さんの評は、何の関係もない ”取り合わせ” であるが、言葉どおしが火花を散らして、そこに詩が生まれる、というものでした。

テーマである2択との関係は、当たった・当たらない、開いた・開かない、という2択の結果が蓄積されて、そこに人生が構築される、というものでした。

本戦出場に当たっての、ちょっとしたアドバイスとして、韻を強調することが、挙げられました。

添削 公開録画当たった浅蜊口あけた

游々子:”あ” 音を一つ増やして三つにしたということです。原句との優劣は、私には分かりません。私に引っ掛かるのは、五七五のリズムになっていないことで、その点の指摘は誰からも有りませんでした。私なら、「浅蜊開く抽選の当たり届きしとき」と致します。

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