添削(7)ーH.Yさん しおさい会(2月)ー
原句 せせらぎの音に目醒めし雪解かな
上五中七が、原因―結果の関係になっていますので、目覚めてみると外は雪解川のせせらぎであった、と順序を変えると解消できます。「目覚めるや外に渦巻く雪解川」。おそらく北国の宿での出来事でしょうから、目覚めを「朝」の一言で言いきって、北国の宿のようなフレーズを入れた方が、詩趣の出た句になると思います。
参考例 北国の宿の朝や雪解川
原句 芽吹く木のけふをきのふに一つずつ
毎日の芽吹きを観察している作者の姿が伝わってきます。ただ、中七下五の表現が分かりにくいです。分かりやすいものにすると「庭の木の芽吹き数える昨日今日」のようなものになります。俳句では、遊び心が大切ですので、数えるという行為ではなく、芽吹きによって、庭が膨らんだと、大袈裟に詠んでみては如何でしょうか。
参考例 木々芽吹く庭の膨らむ朝かな
原句 老犬のいびき時折春眠し
長年連れ添ってくれた愛犬と、日当たりの良いリビングで、うつらうつらしている姿が目に浮かびます。ただ、この句では、「自分」を入れないほうが、老犬への愛情をより強く表現できると思います。
参考例 老犬の奏でるいびき春うらら