俳句的生活(303)-連句の会(1)-
俳句結社「未央」の同人の方と語らい、今月上旬に四人でネットを使い、一週間かけて三十六吟の連句を実施しました。連句では、A B C と3句並んだ時に、AとB、および、BとCに関連性があることと、AとCが同じ内容のものにならずに次々と展開していくことが肝心であると言われています。その点に注目して後半部分に付けた赤字を含めて、三十六吟を示します。知的好奇心が盛り上がり、三十六歌仙を巻いた、楽しい一週間でした。
連句の会(1)
連衆:紀子 沙耶香 二宮 游々子
月日:令和6年11月2日~9日
(発句) 冠雪の山を映して湖(うみ)の面(おも) 游々子
(脇) 波面にゆらぐ鴛鴦の陰 二宮
(第三句) 今日の日の為の快晴七五三 紀子
(第四句) 共に見上げし冬紅葉かな 沙耶香
(第五句) 母盾に木枯よける二歳児よ 沙耶香
(第六句) 八幡宮の太鼓橋下 游々子
(第七句) 砂利道に遠き武者の世ふと思う 二宮
(第八句) 古道街道幻の道 紀子
(第九句) 小春日を家族揃うて宮参り 紀子
(第十句) 願うは一つただ健やかに 沙耶香
(第十一句) 紅葉して竜田の姫の夢のあと 游々子
(第十二句) 唐紅と説く江戸の隠居 二宮
(第十三句) 葛城の古宮守る椋の声 二宮
(第十四句) 高句麗新羅なにするものぞ 游々子
(第十五句) 出窓から今日は見えるか冬の月 沙耶香
(第十六句) 君と別れて早も一年 紀子
(第十七句) 遺跡野に露店勤労感謝の日 紀子
(第十八句) コントレイルの低き茅渟の海 二宮
仁徳天皇陵のある南河内から大阪湾へ
(第十九句) 春浅し櫂打つ湖も霊山も 游々子
大阪湾から琵琶湖へ
(第二十句) 東風に吹かれて駆け出す背中 沙耶香
春浅しから東風へ
(第二十一句)花の香と鐘がきこえて夕まぐれ 二宮
東風吹かばの梅の匂いから花の香へ
(第二十二句)鴨の桟敷の朧の月よ 游々子
京都の鴨川の桟敷へ
(第二十三句)安らかな子の寝息聞く朝寝かな 沙耶香
平安京の安より安らかな子へ
(第二十四句)慌てて食うぶパンとコーヒー 紀子
平和な家族の朝食
(第二十五句)二人とは芋を掘る人蒸かす人 游々子
家族から夫婦へ
(第二十六句)頬を撫でられ微笑み返す 沙耶香
夫婦の愛撫
(第二十七句)初恋は遠き日のこと桜貝 紀子
結婚前の初恋
(第二十八句)うるわしき浜拾いし波に 二宮
青春
(第二十九句)寄せ書きの言葉抱きて卒業す 沙耶香
青春
(第三十句)青春切符買うて何処へ 紀子
青春の旅
(第三十一句)旅にあり三十一文字を書き送る 二宮
旅の和歌へ
(第三十二句)月の山にもスマホ有りけり 游々子
旅から奥の細道(月山)へ 文字からスマホへ
(第三十三句)絵手紙の遠流の島の流れ星 紀子
スマホから絵手紙へ 月山から佐渡へ 星ー>天の川
(第三十四句)世阿弥思いて能舞台見る 二宮
佐渡から世阿弥へ
(第三十五句)何故ここに決めし行き先吉野山 游々子
能から吉野静へ 旅の俳人芭蕉が憧憬した西行の吉野山へ
(挙句)綻ぶ友の顔忘るまじ 沙耶香
吉野山で再会する友の笑顔 ハッピーエンド
新酒酌む盃ひとつ欠けし夜 游々子