山小舎便り(30)令和8年7月7日 卯の花
今年も夏を蓼科で過ごす時期がやって来ました。実は2週間前の6月22日に山に入っていたのですが、毎日のように梅雨空が続き、室内で事が済む連句やAIとの囲碁対局、ブログの作成に時間を使い、ゆっくりと近辺を散策するのを今日まで怠ってしまいました。
今日発見したのは赤いウツギの花でした。

ウツギというと白い花のイメージが強く、私が最初に接したのは大学1年の時に、比良の蓬莱山に花折峠から登った時でした。その時は霧がかかった天候でしたが、縦走路には卯の花が咲いていて、長く記憶に残ったものでした。
後年、卯の花が詠まれた和歌を調べていると、幕末に紀州藩士であった加納諸平という人の
山里は卯の花垣のひまをあらみ忍び音もらすほととぎすかな
という和歌に接して、佐々木信綱が作詞した『夏は来ぬ』の本歌になっていることを知りました。また、持明院統の伏見天皇の中宮であった永福門院の
ほととぎす空に声して卯の花の垣根も白く月ぞ出でぬる
という歌も、卯の花と垣根を組み合わせていて、私の好きな歌です。
ところで、今日見つけた赤い花のウツギ、候補としてはハコネウツギとタニウツギの二つがあるのですが、どうやらタニウツギであるようです。
両者の違いを比較すると、
| 特徴 | タニウツギ | ハコネウツギ |
|---|---|---|
| 花色 | 濃桃色~紅色が主体(白花もまれにある) | 白→桃→紅へ変化するため、一株に三色が見られる |
| 花のつき方 | 枝先に多数まとまる | 同様 |
| 葉 | やや細長い | やや幅広い |
| 自生地 | 山地・谷沿いに多い | 海岸近くや暖地にも多い |
となっていて、タニウツギに軍配が挙がるのです。
ウツギの垣根については、調布の神代植物園に卯の花の垣根が造られているということで、見に行ったことがあります。確かにあるにはあったのですが、その時は花が咲いてなく、残念な思いをしたことがあります。
振り向けば卯の花匂ふ雲母坂(きららざか) 游々子


