連句(53)

連句(53)『かきつばたの巻』
令和8年6月20日(土)〜6月24日(火)
連衆  游々子 典子 二宮  紀子  初美

(発句)   かきつばた風が風呼ぶ回廊に       游々子 
先日藤沢の遊行寺で菖蒲を見て来ました。このお寺では中庭の菖蒲園を回廊から眺める事ができ、そこには風が気持ちよく吹いていました。

(脇句)   庭を歩けば水音涼し           典子
前句より、庭園に滝や川が流れていて、その水音が涼しげに聞こえる景を連想しました。

(第三句)  八橋に池を越え行く東にて        二宮
カキツバタで八橋に池を思います。いずれかあやめか菖蒲。業平の夢や破れて隅田川。

(第四句)  スカイツリーに外つ国の人        紀子
業平の失意を歌った言問橋の辺りは、今は昔。
スカイツリーが建って観光スポットとなっています。

(第五句)  浅草は車夫また多し十三夜        游々子
浅草界隈は外国人の人力車利用が多く、本郷湯島の切通し近くには樋口一葉の『十三夜』に因んだ碑が作られています。作中のヒロインが今は車夫になっているかつての恋人と再会した処です。

(第六句)  上野山には展覧会す           二宮
一年の努力の作品を披露する。実りの秋

(第七句)  美術館巡る初秋の軽井沢         典子
上野から軽井沢へ。美術館巡りの旅をイメージしました。

(第八句)  奥の細道もう薄紅葉           初美
もう一度東北へ旅をしたいと思いました。

(第九句)  京都人の粋は洛中恋の御所        游々子
『京都人の密かな愉しみ』というNHK のドラマで、室町で400年を超す老舗の呉服屋の主が 「洛中いうたら四条烏丸や室町界隈や」というのを聞いて、そうなんだと思いました。数年しか京都で過ごしたことのない身には刺さる言葉でした。

(第十句)  情け感じてふと振り返る         二宮
恋は遠くなっても、情けは忘れずに居たい。

(第十一句) 下町の路地に溢るる植木鉢        典子
人情が残る下町の風景を連想しました。

(第十二句) 鐘に起こさる入谷の朝市         游々子
前句より入谷の朝顔市を連想しました。

(第十三句) 学生の月裏論ず丸炬燵          二宮
とっつけただけの句ですが、とりあえず、

(第十四句) 三畳の間に大冬日入る          初美
三畳の間で夫がパソコンを打っています。

(第十五句) ティアラ美し王宮の晩餐会        紀子
三畳の間から、ゴージャスな王宮へ。

(第十六句) ダイヤモンドは地殻底より        二宮
宝石も永い時間の地球の産物ですね。 

(第十七句) 咲き登る花は吉野の宮址へ        游々子
前句の地殻より中央構造線上にある吉野山を連想しました。偶然ですが、四国の吉野川も同じ線上に沿っています。

(第十八句) ベンチに座り食む蓬餅          典子
旅の途中の土産物屋で蓬餅を買い、食べる様子を連想しました。

(第十九句) 泥だらけなる球春のユニフォーム     紀子
前句のベンチから、春のベンチに座って何を見ようかと思った時、高校野球かな、と思いました。

(第二十句) 風爽やかに雲白く浮く          二宮
泥から雲の白さを思いました。

(第二十一句)密やかなミクロの世界稲の花       紀子
前句の雲白くの大きな景色から、相反する小さな景色を詠みました。

(第二十二句) 風に流るるひつぢ田の青         典子
前句より稲刈のあとの風景を連想しました。

(第二十三句)菅笠で谷棚登り草むしる          二宮
田からのつながり。こんな作業はとてもできない僕です。

(第二十四句)夫と二人で素麺を食べる          初美
今日の昼食です。

(第二十五句)天守まで助け合ひゆく姫路城        典子
前句の素麺より、揖保乃糸素麺を連想し、産地近くにあるお城でのデートを思い浮かべました。   

(第二十六句)昔イケメン今はイクメン          紀子
前句の助け合いから。

(第二十七句)子と孫と曾孫と遊ぶ幸せを         初美
イクメンから、幸せな一家だと思いました。

(第二十八句)丘へ丘へと杖を頼りに           游々子
今では杖が大事な “相棒” になりました。

(第二十九句)奥山の古都一望の月見席          紀子
前句の丘へ丘へから、高い所から眺める月を思いました。若草山は夜は徒歩では入山できないので、奥山ドライブウェイから眺めた絶景の月を想像しました。

(第三十句)石畳照らす行燈の灯             典子
前句の古都より、歴史のある町金沢を連想しました。 

(第三十一句)能登に舞う朱鷺の放鳥天高し        游々子
先日朱鷺の放鳥が、能登地震で大きな被害の出た町で行われました。

(第三十二句)米どころとは水の清流           紀子
北陸は白山等を源流として米どころ。田んぼは朱鷺の生命線でもある。

(第三十三句)富山湾南立山薬売り            二宮
越中に急流多く、ふるさとを好きな人が多い。行ってみたいところです。

(第三十四句)江戸に店出し先用後利           游々子
越中富山の薬売りの江戸での商いの仕方を詠みました。

(第三十五句)古里の花の便りを聞きし夜         典子
古里を出て久しい人も、桜の季節には古里を思い出している様子を想像しました。

(挙句)   住めば都よ残る鴨にも           紀子
古里は遠くにありて思うけれど、(聞いたことあるフレーズですが)今住んでいる所もとても居心地がいいです。楽しんで毎日を過ごしたいです。