俳句的生活(348)善通寺(9)真言の教え
真言宗は空海が唐から持ち帰った密教を、日本において更に発展させたものです。全貌を理解することは簡単ではありませんが、心の持ち方について、大変有益な教えですので、本稿では最も基本的なことを簡潔に述べてみようと思います。

真言宗では大日如来を宇宙の根本に据えていて、あらゆるものは大日如来の化身であり、大日如来の心が宿っているとしています。草木悉皆即成仏という思想です。草木悉皆の中には人間も含まれていて、即身成仏 すなわち自分は既に仏である、仏は我であり我は仏である という見方です。常人にとっては厳しい修行をしなくても生まれながらにして既に仏の心を有しているとするもので、これほど有り難いことはありません。
真言宗では宇宙は真言というエネルギーで満ち溢れているとしています。それは眼には見えない “密” なものです。真言とは何か、その把握は専門の僧侶に任せるとして、最も身近で判り易いものは “有難う” というものです。これを三つの “密” すなわち三密で捉えるというのが、真言宗における核心中の核心です。
三密とは
口密(くみつ):口に出すこと
身密(しんみつ):身体で示すこと
意密(いみつ):心からそう思うこと
の三つのことです。
例えば、人に感謝の気持ちを伝える時に、先ず “有難う” を口にする、その時相手の眼を見て言う、心からそう思って伝える、といったことです。こうすることにより、当人には幸せのホルモンが分泌され、宇宙と合体することが出来る、という教えです。
先日テレビを見ていましたら、葉山で洒落た家に一人住まいをしている女性でしたが、朝目覚めたときに、今日も新しい一日を迎えられたことに “有難う” と口にする、窓を開けて外の光に “有難う” と口にする、室内の植物に “有難う” と口にする、等々を実践している人が紹介されていました。草木悉皆に “有難う” を口にしている訳で、彼女自身が幸せな一日をスタートさせているという紹介でした。
密教そのものの理解は僧侶たちの修行に委ねて、我々常人は、こんなことを始めてみるのが理に適っていると思うのですが、如何でしょうか?


